平成29年度 公害防止管理者 公害総論 問9を解説|有害大気汚染物質の測定結果(超過は指針値側の1,2-ジクロロエタン)
平成29年度 公害総論 問9は、大気中の微量な化学物質を対象とした全国的な測定調査の結果に関する正誤問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、大気中の化学物質に定められた基準に二つの階層があることを理解しているかを問うものです。引っかけの核心は、物質ごとにどちらの階層の物差しが当てられているかという一点にあり、名前をよく見かける物質ほど超過が起きていそうに感じてしまう心理を突いています。超過が話題になるのはどちら側かを、階層の性格から押さえておきたいところです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 環境基準が定められている物質で、この年度はすべての測定地点で基準を達成しており、超過地点はありません。 |
| (2) | ×(誤り) | こちらも環境基準が定められている物質で、全地点で基準を達成しています。 |
| (3) | ×(誤り) | かつては超過地点がみられた物質ですが、排出抑制が進み、この年度は全地点で環境基準を達成しています。 |
| (4) | ×(誤り) | 指針値が定められている物質ですが、この年度は全地点で指針値を下回っています。 |
| (5) | ○(正しい) | 指針値が定められている物質で、固定発生源の周辺に指針値を超えた測定地点が生じています。これが該当します。 |
選択肢(5)のポイント(ここが正しい)
大気中の化学物質に当てられる物差しには、環境基準と指針値の二つがあります。環境基準が定められているのはベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンで、いずれも早くから知見が蓄積され、排出抑制の取組も長く続いてきた物質です。その結果、近年は全地点達成が続いています。
これに対して指針値は、健康リスクの低減を図る上で当面の目標として置かれるもので、知見の集積の途上にある物質に順次設定されてきました。対策の歴史が浅く、排出源の把握もこれからという段階にあるため、超過地点が現れるのはほとんどが指針値の側です。選択肢(5)の物質はこの指針値が定められている側にあり、固定発生源の周辺で超過が生じています。
名前をよく耳にする物質ほど汚染が続いていると考えてしまいがちですが、知名度と超過の有無は逆に働くことが多いと意識してください。有名な物質は対策が先に進んでいるからこそ有名なのであって、達成側に移っています。超過地点も、広く一般の環境で生じるのではなく、排出源のすぐ近くに限られて現れるのが典型です。
覚え方
- 環境基準が定められているのはベンゼン・トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン・ジクロロメタン。この4つ以外の名前が出たら指針値の世界と判断する。
- 環境基準=維持されることが望ましい水準、指針値=当面の目標。設定の重みが違うので、混ぜて覚えない。
- 超過が問われたら指針値側を疑う。環境基準の物質は達成が続いている、が近年の定番。
- 超過地点は一般環境より固定発生源の周辺で出やすい。発生源に近いほど濃度が高い、という当たり前の構造で押さえる。
理解度チェック
大気中の化学物質に環境基準が定められている物質を挙げられますか。
ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンです。これら以外の物質には、当面の目標として指針値が設定されています。
環境基準と指針値では、どちらで超過地点が生じやすいですか。またそれはなぜですか。
指針値のほうです。環境基準の物質は早くから対策が進み達成が続いているのに対し、指針値は知見の集積が進む途上の物質に順次設定されるため、排出源の周辺で超過が残ることがあります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- 環境省「平成26年度 大気汚染状況について(有害大気汚染物質モニタリング調査結果報告)」
- 大気汚染防止法
※ この記事の確認日:2026年7月