平成28年度 公害防止管理者 公害総論 問10を解説|軽油で下げるのは硫黄分
平成28年度 公害総論 問10は、移動発生源に向けた施策を扱う正誤問題です。並んだ施策のうち正しくないものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、走る発生源に対する打ち手が、車そのもの・燃料・使い方の3方向から組まれていることを理解しているかを見る出題です。引っかけの核心は、燃料の品質改善で実際に狙われてきた成分をすり替えた点にあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 燃料の品質改善で狙われてきたのは硫黄分です。窒素分を減らす施策ではありません。 |
| (2) | ○(正しい) | 国際的な枠組みのもとで、船舶の機関から出る窒素酸化物や硫黄酸化物への規制が進められています。 |
| (3) | ○(正しい) | トラックやバスは走行距離が長く排出への寄与が大きいため、段階的に規制が強められてきました。 |
| (4) | ○(正しい) | 環境性能の高い車を税で優遇し、古い車の負担を重くする経済的な手法です。 |
| (5) | ○(正しい) | 走行の流れを滑らかにして無駄な加減速と停車を減らし、排出そのものを抑える対策です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
燃料に含まれる硫黄分は、燃えれば硫黄酸化物になって出ていくだけでなく、排気の後処理に使う触媒やフィルターを働かなくさせます。硫黄分を極限まで下げなければ、粒子状物質を捕らえる装置も窒素酸化物を減らす装置も実用にならないという事情があり、燃料の低硫黄化は装置による対策の前提条件として進められてきました。ガソリンと軽油の双方で硫黄分を大きく落とす取組みが行われた経緯があります。
これに対して、燃料に含まれる窒素分を下げても、自動車から出る窒素酸化物はほとんど減りません。自動車の窒素酸化物は主に燃焼室の高温で空気中の窒素が酸化されて生じるためで、燃料の中身とは経路が違うからです。だから窒素酸化物への打ち手は、燃やし方を変えるか、排気を後処理するか、走る量そのものを減らすかになります。原因の経路をたどれば、燃料の窒素分という施策が成立しないことが分かります。
覚え方
- 燃料の品質改善で下げるのは硫黄分。窒素分ではない。
- 低硫黄化は後処理装置を働かせるための前提。触媒やフィルターは硫黄で性能を落とす。
- 自動車の窒素酸化物は空気中の窒素が高温で酸化されたもの。燃料由来ではない。
- 移動発生源対策は3本柱。単体への規制、燃料の品質、使い方(交通流・税制などの経済的手法)。
理解度チェック
軽油やガソリンで低減が進められてきた成分は何か。
硫黄分です。硫黄酸化物の発生を抑えるとともに、排気の後処理装置を働かせるために必要でした。
自動車から出る窒素酸化物は、主にどこから生じるか。
主に燃焼室の高温で空気中の窒素が酸化されて生じます。燃料中の窒素分が主な出どころではありません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- 環境省「自動車排出ガス対策」および燃料品質規制に関する公表資料
※ この記事の確認日:2026年7月