平成28年度 公害防止管理者 公害総論 問6を解説|四日市ぜん息の原因は硫黄酸化物
平成28年度 公害総論 問6は、環境問題と主な原因物質の対応を問う組合せ問題です。並んだ組合せのうち正しくないものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、公害の歴史で名前の残る事象と、その引き金になった物質を結び付けられるかを見る出題です。引っかけの核心は、同じ大気汚染でも由来がまったく違う2種類の物質をすり替えてある点にあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている組合せ)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 工場排水に含まれた有機水銀が魚介類を通じて濃縮され、神経の障害を引き起こしました。 |
| (2) | ○(正しい) | 栄養塩となるりんと窒素が水域に蓄積し、藻類の異常な増殖を招く現象です。 |
| (3) | ○(正しい) | オキシダントの主成分であるオゾンが、目やのどへの刺激をもたらします。 |
| (4) | ○(正しい) | 洗浄などに使われた溶剤が地中に浸透し、分解されにくいまま地下水に達した事例です。 |
| (5) | ×(誤り) | 主な原因は重油の燃焼に伴って生じた硫黄酸化物で、窒素酸化物ではありません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
石油コンビナートで大量に燃やされた重油には硫黄分が多く含まれており、燃焼によって硫黄酸化物となって大気へ出ました。これが周辺住民の呼吸器の障害を広げた経緯です。窒素酸化物と取り違えると、対策の技術まで丸ごとずれます。硫黄酸化物は燃料の中身が持ち込む物質なので、燃料を低硫黄のものに換える、排煙から硫黄分を取り除くという対策が効きます。
これに対して窒素酸化物は、燃焼のときに空気中の窒素が高温で酸化されて生まれるのが主な経路です。燃料を換えても減りにくく、燃やし方そのものを変えるか、排煙から取り除くしかありません。窒素酸化物が主役になるのは、光化学オキシダントの生成や自動車排出ガスの規制といった別の文脈です。同じ大気汚染の言葉でも、物質の出どころが違えば打ち手が変わる、という整理をしておくと混ざりません。
覚え方
- 四大公害の原因物質は水俣病・新潟水俣病=有機水銀、イタイイタイ病=カドミウム、四日市ぜん息=硫黄酸化物。
- 硫黄酸化物は燃料が持ち込む物質、窒素酸化物は燃焼で生まれる物質。出どころが違えば対策も違う。
- 富栄養化の主役は窒素とりん。有機物による汚濁とは別枠で考える。
- 地下水汚染で名前の挙がる代表格は塩素系の有機溶剤。分解されにくく、いったん入ると長く残る。
理解度チェック
Q.
四日市ぜん息の主な原因物質は何か。
重油の燃焼に伴って生じた硫黄酸化物です。窒素酸化物ではありません。
Q.
硫黄酸化物と窒素酸化物では、発生のしかたがどう違うか。
硫黄酸化物は燃料に含まれる硫黄分が燃えて生じます。窒素酸化物は主に燃焼時の高温で空気中の窒素が酸化されて生じます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 公害総論 問題」(公式PDF)
- 環境省「公害の歴史」ほか公害健康被害に関する公表資料
※ この記事の確認日:2026年7月