平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問13を解説|大気中の存在形態と移行
平成29年度 ダイオキシン類概論 問13は、大気に出たダイオキシン類がどんな形で存在し、どのように運ばれて地表へ移っていくのかを問う正誤問題です。誤りのある記述を選びます。
この問題のポイント
この物質群は水にほとんど溶けず、常温での蒸発しやすさも小さいため、大気の中では粒子に付いた状態で存在するのが基本です。ただしグループによって蒸発しやすさに差があり、一部は気体としても回ります。設問はこの存在形態の話から、粒子が運ばれて落ちる過程、そして落ちた先での蓄積へと進みます。引っかけの核心は、運ばれ方を語る一文にあります。関係がないと言い切る肢が混じっており、これは大気の拡散という現象そのものと正面からぶつかります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | ビフェニル系は他の二つより蒸発しやすく、気体としても一定の割合が大気中に存在します。 |
| (2) | ○(正しい) | 酸素を持つ二つの骨格は常温でほとんど蒸発せず、細かい粒の表面にくっついて存在します。 |
| (3) | ○(正しい) | 付着した粒は空中を漂いながら、やがて重力に引かれて地面や水面へ降りていきます。 |
| (4) | ×(誤り) | 粒の大きさも風の条件も、どこまで運ばれるかを確実に左右します。無関係だという断定は成り立ちません。 |
| (5) | ○(正しい) | 発生源の近くでは、降りてきた粒が積み重なって濃度の高い土壌になっている例が知られています。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
空中の粒がどこへ行くかは、二つの力の綱引きで決まります。一つは下へ引く重力で、もう一つは横へ運ぶ風です。粒が大きいと落ちる速さが増し、風に乗っている時間が短いので発生源の近くに落ちます。逆に粒が小さいほど落ちる速さは小さく、長く漂って遠くまで運ばれます。粒の大きさは滞空時間を決めるので、飛距離に直結します。
風の側も同じです。風速が大きければ同じ滞空時間でもより遠くへ運ばれ、風向は着地点がどの方角に広がるかを決めます。工場や焼却施設の周りで環境調査を行うとき、測定地点を風向にあわせて配置するのはこのためです。運ばれ方が条件に左右されないのなら、風下側だけ濃度が高いという現象は起こらないはずです。
この矛盾は、同じ設問の中でも確かめられます。発生源のそばの土に濃度の高い場所があるという記述は、粒がどこへ落ちるかが場所によって偏ることを前提にしています。もし運ばれ方が粒の大きさにも風にも左右されないなら、落下は一様に散らばるはずで、近くだけが濃くなる理由がありません。二つの肢が同時に成り立たないなら、どちらかが誤りという読み方は、正誤問題の強力な武器になります。
あわせて、存在形態の違いも押さえておきましょう。酸素を持つ二つの骨格は粒に付いて動くのに対し、ビフェニル系は気体としても回れるため、粒とは違う運ばれ方をします。気体は落下せず風に流されるままなので、より広い範囲へ薄く広がる傾向を持ちます。同じダイオキシン類でも、グループによって行き先が変わるという点は、環境調査の結果を読むときの前提になります。
覚え方
- 条件に左右されない、と言い切る肢はまず疑う。環境分野では例外がほぼない。
- 粒は大きいほど早く落ちて近くに、小さいほど長く漂って遠くへ。
- 気体で回れるのはビフェニル系。酸素を持つ二つは粒に付いて動く。
- 発生源の風下・近傍の土壌は濃くなりやすい。落下の偏りがそのまま出る。
- 肢どうしが同時に成り立たないときは、そこに誤りが隠れている。
理解度チェック
粒径が小さい粒子は、大きい粒子と比べてどこまで運ばれますか。
より遠くまで運ばれます。落ちる速さが小さく滞空時間が長いため、風に乗っている距離が伸びます。
三つのグループのうち、気体としても大気中を回りやすいのはどれですか。
コプラナーPCBです。他の二つより蒸発しやすいため、気相にも一定量が存在します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月