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平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問11を解説|異性体の分子量比較

平成29年度 ダイオキシン類概論 問11は、五つの略号で示された物質を比べ、分子量が最も小さいものを1つ選ぶ計算問題です。原子量は問題文で与えられます。

この問題のポイント

略号を読み解ければ、あとは組成式を組み立てて足し算するだけの問題です。読み解きの鍵は二つで、末尾の記号が骨格を示し、先頭に付く接頭語が塩素の数を示します。三つの骨格はいずれも炭素12個でできているので、差がつくのは塩素・酸素・水素だけです。ここに気づけば、五つ全部をまじめに計算しなくても勝負がつきます。とはいえ最後の二つは差がわずかなので、感覚だけで決めずに引き算で確かめる必要があります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)

組成式を組み立てる手順

手順内容
手順1末尾の記号で骨格を判別する。ジオキシン骨格は酸素2個、フラン骨格は酸素1個、ビフェニル骨格は酸素なし。炭素はいずれも12個で共通。
手順2先頭の接頭語で塩素の数を読む。Te が4個、Pe が5個、Hx が6個にあたる。
手順3置き換えられる位置の総数を確認する。ジオキシン骨格とフラン骨格は8か所、ビフェニル骨格は10か所。
手順4水素の数を求める。置き換えられる位置の総数から、塩素の数を引いた残りが水素の数になる。
手順5与えられた原子量を掛けて合計する。炭素分は全部に共通なので、比べるだけなら省いてもよい。

各選択肢の分子量

選択肢組成式計算
(1)C12H3Cl5O144.12+3.03+177.25+16.00=340.40
(2)C12H3Cl5O2144.12+3.03+177.25+32.00=356.40
(3)C12H2Cl6O144.12+2.02+212.70+16.00=374.84
(4)C12H4Cl4O2144.12+4.04+141.80+32.00=321.96(最小)
(5)C12H5Cl5144.12+5.05+177.25=326.42

選択肢(4)のポイント(ここが決め手)

五つの重さを分けている主役は塩素です。塩素は水素に比べて桁違いに重く、その差はおよそ34.4あります。つまり水素1個が塩素に置き換わるたびに、分子は34ほど重くなるわけです。この効き目が大きいので、まず塩素の数が少ないものに目星をつけます。塩素4個は(4)だけなので、これが最有力になります。

ただし油断はできません。(5)は塩素が5個ありますが、骨格に酸素を持たないぶん軽くなります。酸素2個ぶんの重さは32.00で、これは塩素1個ぶんの重さとほとんど変わりません。塩素1個の重さと酸素2個の重さが拮抗するため、この二つは非常に近い値になります。実際、差はわずか4.46しかありません。

ここで役に立つのが、共通部分を消して差だけを取る比べ方です。(5)から(4)を引くと、塩素が1個増え、水素が1個増え、酸素が2個減ります。式にすると 35.45+1.01−32.00=+4.46 となり、(5)のほうが重いと分かります。炭素は12個で共通なので、最初から計算に入れる必要すらありません。全部を足すのではなく、違うところだけを差し引くやり方は、試験時間を大きく節約できます。

なお水素の数を出すときは、骨格ごとに置き換えられる位置の数が違う点に注意してください。ジオキシン骨格とフラン骨格は8か所、ビフェニル骨格は10か所です。この数を取り違えると水素の個数がずれ、答えが変わってしまいます。(5)は10か所のうち5か所が塩素なので、水素は5個です。この1個の違いが、最終的な4.46という僅差を生んでいます。

覚え方

  • 骨格の炭素はどれも12個。差がつくのは塩素・酸素・水素の3つだけ
  • 水素が塩素に置き換わると約34重くなる。塩素の数が最優先の判断材料。
  • 酸素2個ぶんの重さは塩素1個ぶんとほぼ同じ。ここで逆転が起こる。
  • 置き換えられる位置はジオキシン骨格とフラン骨格が8か所、ビフェニル骨格が10か所。
  • 比べるだけなら共通部分は省き、違うところだけ引き算する。

理解度チェック

Q.

分子量を比べるとき、炭素の分を計算に入れなくてよいのはなぜですか。

三つの骨格がいずれも炭素12個で共通だからです。共通部分は大小に影響しないので省けます。

Q.

ビフェニル骨格で、水素の数を求めるときに使う位置の総数はいくつですか。

10か所です。ジオキシン骨格やフラン骨格の8か所と違うので、そのまま流用すると答えがずれます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF