平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問10を解説|構造式とTEFの大小
平成29年度 ダイオキシン類概論 問10は、五つの構造式を見比べて、毒性の重みづけがいちばん大きい一つを選ぶ問題です。図から骨格の種類と塩素の付き方を読み取って答えます。
この問題のポイント
物質名が示されず図だけが並ぶので、読み取りの手順を決めておくことが第一です。酸素がいくつ描かれているかで骨格を見分け、次に塩素の個数を数え、最後にどの位置へ来ているかを確かめます。判断の中心になるのは、塩素が少ない=重みが大きい、とは限らないという点です。重みには骨格ごとの上限があり、同じ個数でも並び方で大きく変わります。骨格の違いと個数の違いが逆向きに働く組合せが用意されているため、片方だけを見て決めると外れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 読み取れる構造 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ジオキシン骨格 塩素6個 | 四隅がすべて埋まり、酸素に隣り合う位置にも塩素が入った六塩素体です。重みは0.1で、五つの中で最も大きい値になります。 |
| (2) | ジオキシン骨格 塩素7個 | 置換できる位置が1か所しか残っていない七塩素体で、重みは0.01です。(1)より一桁小さくなります。 |
| (3) | ジオキシン骨格 塩素8個 | 置換できる位置がすべて埋まった八塩素体です。重みは0.0003で、五つの中で桁違いに小さい値です。 |
| (4) | フラン骨格 塩素5個 | 塩素の数は最少ですが、酸素に隣り合う位置が空いた並びのほうで、重みは0.03にとどまります。 |
| (5) | フラン骨格 塩素7個 | 片方の環が塩素で埋まり尽くした七塩素体で、重みは0.01です。(1)には届きません。 |
選択肢(1)のポイント(ここが決め手)
五つを並べると、塩素の数は5個から8個まで散らばっています。最も少ないのは(4)ですが、答えは6個の(1)です。ここに本問の骨があります。決め手は二つあり、一つは骨格ごとの上限の違い、もう一つは同じ個数でも並びで変わるという性質です。
まず骨格の違いです。酸素2個の骨格は、酸素1個の骨格より全体に重みが大きく設定されています。基準になる最強の物質そのものが酸素2個の骨格を持っているため、同じ塩素数なら酸素2個の側が有利になります。次に並びの違いです。酸素1個の骨格の五塩素体には、塩素の位置が異なる二つの型があります。酸素に隣り合う位置が埋まっている型は重みが大きく、空いている型は一桁小さくなります。図の分子は空いているほうで、この差が結果を分けます。もし埋まっている型が描かれていれば、この肢が答えになっていました。図を見るときに個数だけ数えて満足すると、この違いを見落とします。
逆側からも確かめておきます。塩素が7個、8個と増えていく(2)(3)(5)は、いずれも重みが下がる方向です。置換できる位置が塩素で埋まり尽くすほど分子は太くなり、体内で毒性の引き金を引く受け皿にはまりにくくなります。とくに全部が埋まった八塩素体は、他より三桁ほど小さい水準に置かれています。塩素が多いほど毒が強い、という直感は逆だという原則を、図の問題では常に先に思い出してください。
なお本文中の重みの値は、世界保健機関が2005年に見直して公表した毒性等価係数によります。過去に用いられていた1998年の値とは一部が異なりますが、五つの大小関係はどちらの体系でも変わらず、いずれでも(1)が最大になります。
覚え方
- 読み取りは酸素の数→塩素の数→塩素の位置の順で三段階。
- 四隅が埋まっていなければ重みは付かない。まずそこを確認する。
- 塩素が増えるほど重みは下がる。全部埋まった八塩素体は桁違いに小さい。
- 同じ塩素数ならジオキシン骨格のほうがフラン骨格より大きいのが原則。
- フラン骨格の五塩素体は並びで10倍違う。酸素の隣が埋まっている型が大きい。
理解度チェック
塩素の数が最も少ない構造式が、必ず最も大きい重みを持ちますか。
持ちません。骨格の種類と塩素の位置でも変わるため、個数だけでは順位を決められません。
置換できる位置がすべて塩素で埋まった構造の重みは、どの程度ですか。
桁違いに小さくなります。分子が太って受け皿にはまりにくくなるためで、四塩素体や五塩素体とは三桁ほどの開きがあります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
- 世界保健機関 2005年再評価による毒性等価係数(環境省ほか関係省庁共通パンフレット「ダイオキシン類」所載)
※ この記事の確認日:2026年7月