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平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問8を解説|分配係数と疎水性

平成29年度 ダイオキシン類概論 問8は、油と水に分けたときどちら側へ偏るかを表す指標について、三つの空欄に入る語の組合せを選ぶ穴埋め問題です。正しい組合せを選びます。

この問題のポイント

この指標は、油の相と水の相を接触させて平衡に達したときの、それぞれの相の濃度の比です。比なので、大きな値ほど油側に多く、小さな値ほど水側に多いという読み方になります。実際の値は途方もない大きさになるため、そのままでは扱いにくく、常用対数をとった形で示すのがふつうです。問われるのは、値の大小と性質の向き、その対数がどの桁に収まるか、そして塩素の数を増やしたときに値が上がるか下がるか、という三点です。桁の感覚を持っているかが、そのまま得点差になります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)

各選択肢の正誤

空欄入る語句読み解き
強い分子は油側の濃度を上に置いた比です。比の値が増すほど油側に偏る、つまり水を避ける度合いが大きくなります。
6~8対数でこの範囲ということは、実数では百万倍から1億倍の桁で油側に偏っている計算になります。
塩素が増えるほど分子は水になじまなくなるので、値は上がる向きに動きます。

ここが分かれ目

最初に押さえるべきは、比の分子と分母がどちらかという点です。この指標は油側の濃度を上に置いて定義されるので、値が大きい=油側に偏る=水になじまないと一直線につながります。ここを逆に覚えていると、三つの空欄がまとめて崩れます。名前の順番どおり、油が先で水が後、と口に出して覚えてしまうのが確実です。

次が桁の感覚です。対数の値が示すのは、油側と水側の濃度が何桁違うかという情報です。この物質群は、対数で見て一桁台の後半という、有機化合物の中でもかなり高い水準にあります。つまり油の側に何百万倍から1億倍のオーダーで偏っているということで、水にはほとんど溶けないと言い切ってよい性質です。もっと低い範囲を当てはめると、水に溶けて薄まっていく物質という別の像になり、この物質群をめぐる現実の問題と噛み合わなくなります。

三つ目は相関の向きですが、これは丸暗記ではなく理由で押さえられます。塩素は炭素や水素に比べて大きく、電気的にも水と親しみにくい原子です。骨格に塩素が増えるほど分子は大きく重くなり、水の分子どうしが作る網目に居場所を見つけにくくなります。結果として油側へ追いやられ、値は上がります。塩素が増えるほど水を避けるようになるという向きは、この後に出てくる環境中での振る舞いの話にもそのまま効きます。

この性質から先の話も一続きです。水に溶けないので、水中では粒子や底の泥にくっついて存在します。油になじむので、生き物の体内では脂肪の多い組織にたまります。排出されにくいまま食べる側へ受け渡されるので、食物連鎖をさかのぼるほど濃くなります。疎水性という一つの性質から、吸着・蓄積・濃縮の三つが導かれるという筋道を持っておくと、この分野の他の問題も同じ道具で解けます。

覚え方

  • 名前の順番どおり油が分子、水が分母。大きな値ほど水を避ける。
  • 対数の値は一桁台の後半。実数では百万倍から1億倍の偏りにあたる。
  • 塩素が増えるほど値は上がる。分子が大きく重くなって水に居場所がなくなるから。
  • 疎水性から、粒子への吸着・脂肪への蓄積・食物連鎖での濃縮がすべて導ける。

理解度チェック

Q.

この指標の値が大きいと、その物質はどちらの相に偏りますか。

油の側です。油側の濃度を分子に置いた比なので、大きな値ほど水を避ける性質が強いことを意味します。

Q.

塩素の置換数が増えると、この指標の対数値はどう動きますか。

上がります。分子が大きく重くなって水になじみにくくなるためで、正の相関があります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF