平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問7を解説|骨格の成り立ちと異性体数
平成29年度 ダイオキシン類概論 問7は、三つのグループの骨格がどう組み立てられているか、そして塩素の付き方でいくつの仲間に分かれるかを問う正誤問題です。誤りのある記述を選びます。
この問題のポイント
骨格の見分けは、環と環をどうつないでいるかで決まります。上下二か所を酸素で留めたもの、片側だけを酸素で留めて反対側は炭素どうしで直接つないだもの、酸素を使わず環どうしをそのままつないだもの。この三通りが、それぞれのグループに対応します。設問はこの構造の話から、毒性が問題になる塩素の数の範囲、そして仲間の数へと進みます。引っかけの核心は最後の数です。つなぎ方の違いが、仲間の多さにそのまま効いてくるという関係を知らないと、直感で逆に答えてしまいます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 法律上の「ダイオキシン類」は三つのグループをまとめた呼び名で、平面をとれるビフェニル系まで含みます。 |
| (2) | ○(正しい) | 二つの環を上下から酸素でつなぎ、六員環の橋を作る形です。ここが酸素2個の骨格の定義になります。 |
| (3) | ○(正しい) | 環に結び付いた水素が塩素と入れ替わることで仲間が分かれます。入れ替わる数と場所が違いの正体です。 |
| (4) | ○(正しい) | 毒性の重みを割り当てられるのは塩素4個から8個までの範囲で、それより少ないものは対象外です。 |
| (5) | ×(誤り) | 大小が逆です。酸素1個の骨格のほうが、酸素2個の骨格より仲間の数はずっと多くなります。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
なぜ酸素1個の骨格のほうが多くなるのか。理由は形の対称性にあります。酸素2個の骨格は、上下にも左右にも折り返せる、きれいに整った形をしています。整っているということは、違う位置に塩素を置いたつもりでも、分子をひっくり返すと同じものになってしまう組合せが多い、ということです。数え上げの段階で重複がどんどん消えるので、最終的に残る仲間の数は少なくなります。
これに対して酸素1個の骨格は、片側が酸素、反対側が炭素どうしの直接結合という上下で異なる作りになっています。折り返しても元の形に重ならないため、塩素を置く位置の違いがそのまま別の物質として残ります。塩素を置ける場所の数は両者で同じなのに、重複が消えない分だけ仲間の数が増えるわけです。数え上げると、酸素2個の骨格は75、酸素1個の骨格は135になります。酸素を使わずに環どうしをつないだビフェニル系は、置ける場所がさらに多いため209まで増えます。
この75・135・209という並びは、化学構造から数え上げられる値で、統計の数字ではありません。順番だけでも覚えておくと、後で毒性の重みを持つ仲間の数を問われたときにも効きます。重みを割り当てられた数は、酸素2個の骨格より酸素1個の骨格のほうが多いのですが、これも母数の多さがそのまま反映された結果です。対称性が低いほど種類が増えるという一本の理屈で、構造の話と数の話が結び付きます。
覚え方
- 骨格は酸素2個=ジオキシン、1個=フラン、0個=ビフェニルで見分ける。
- 仲間の数は 75 < 135 < 209 の順。対称性が低いほど多くなる。
- 形が整っているほど重複が消えて数が減る、という理屈で順番を思い出す。
- 毒性が問題になるのは塩素4個から8個まで。3個以下は対象に入らない。
理解度チェック
酸素1個の骨格のほうが仲間の数が多くなるのは、なぜですか。
上下で作りが違い、対称性が低いからです。折り返しても重ならないため、置き換えの位置の違いがそのまま別の物質として残ります。
毒性が問題にされるのは、塩素が何個から何個までのものですか。
4個から8個までです。塩素が3個以下のものに毒性の重みは付きません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
- 環境省ほか関係省庁共通パンフレット「ダイオキシン類」(骨格の構造と異性体数)
※ この記事の確認日:2026年7月