平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問6を解説|PCBの性質と規制の歩み
平成29年度 ダイオキシン類概論 問6は、ポリクロロビフェニルという物質群の性質、使われた量、そして規制されるまでの経過について、正しい記述を1つ選ぶ問題です。正しい記述を選びます。
この問題のポイント
この物質群が広く使われた理由は、燃えにくく、電気を通しにくく、熱や薬品に対して変化しにくいという三つの長所にあります。ところが同じ長所が、環境に出た後に分解されず残り続けるという短所に裏返りました。設問の五つは、その長所の説明、使われた総量、止められた時期と手段、指定された法律の枠組み、そして燃焼による生成の有無へと散っています。引っかけの核心は、止められたのが何だったのかという一点です。作ることを止めるのと、すでに世の中で動いている機器の使用を止めるのとは、まったく別の話になります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | この物質群の売りは化学的に変化しにくいことと電気を通しにくいことで、活性でも断熱材でもありません。 |
| (2) | ○(正しい) | 国内で使われた累計の量として示された水準は、公的資料が挙げる桁と食い違いません。 |
| (3) | ×(誤り) | この年の行政指導で止まったのはつくることです。使用中の機器まで一斉に止めたわけではありません。 |
| (4) | ×(誤り) | 指定されたのは第一種特定化学物質という枠で、時期もその法律ができた1970年代前半にさかのぼります。 |
| (5) | ×(誤り) | 有機物が燃える過程で狙わずに生じることが知られており、だからこそ非意図的生成物として扱われます。 |
選択肢(2)のポイント(ここが正しい)
この物質群は、国内では1950年代なかばから工業的に作られはじめました。用途は変圧器やコンデンサに入れる絶縁油、熱を運ぶ媒体、感圧複写紙などで、いずれも燃えず、変質せず、電気を通さないという性質を当てにしたものです。作られた量の大半は輸出されずに国内で使われており、累計の使用量は生産量よりいくらか少ない、という関係になります。設問が示している水準は、環境省や自治体の公表資料が挙げている桁と一致しており、他の四つのように事実関係が入れ替わってはいません。
この量の大きさが、そのまま今日まで続く課題の大きさになりました。1968年に食用油への混入による健康被害が表面化して毒性が広く知られ、1972年には行政の指導によって製造が止まります。しかし止まったのは新たに作ることだけで、すでに全国の機器へ収まっていた分はそのまま使われ続けました。だからこそ、機器を使い終えた後の長期保管と、確実な処理という別の問題が生まれ、期限を定めた処理体制の整備が今日まで続いています。「製造中止イコール社会からの消滅ではない」という感覚が、この分野を理解する軸になります。
規制の枠組みも順序で覚えると混乱しません。まず行政指導で作ることを止め、次に化学物質の審査と製造等の規制に関する法律ができて、分解されにくく蓄積しやすく毒性のある物質を第一種特定化学物質として指定し、製造・輸入・使用を厳しく制限しました。この指定はその法律の出発点からのもので、2000年代の出来事ではありません。法律の名前と枠の名前、そして時期の三つを入れ替えるのがこの手の肢の常套手段なので、三点そろって合っているかを確かめてください。
覚え方
- 売りは安定・不燃・絶縁の三点。活性でも断熱材でもない。
- 行政指導で止まったのは製造。使用中の機器は残り、保管と処理の問題になった。
- 枠の名前は第一種特定化学物質。指定はその法律の出発点から。
- 燃焼で狙わずに生じるため、非意図的生成物としても扱われる。
- 長所がそのまま「環境に残り続ける」短所に裏返る、という筋で覚える。
理解度チェック
1972年の行政の指導で止まったのは何ですか。
製造です。すでに機器へ収まって稼働していた分まで一斉に止めたわけではなく、そのため長期の保管と処理が課題として残りました。
この物質群が広く使われた理由を、性質の面から3つ挙げてください。
化学的に安定なこと、燃えにくいこと、電気を通しにくいことです。この三つがそのまま、環境中で分解されにくい性質にもつながりました。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
- 環境省「PCB廃棄物処理に関する経緯と現状」ほか、国内生産量・使用量に関する公表資料
※ この記事の確認日:2026年7月