平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問4を解説|特定施設の範囲
平成29年度 ダイオキシン類概論 問4は、五つの設備を並べ、そのうちダイオキシン類対策特別措置法の特定施設に当てはまらないものを1つ選ぶ問題です。当てはまらない設備を選びます。
この問題のポイント
政令が並べる特定施設は、大きく二つの系統に分かれます。一つは熱と塩素と炭素がそろう炉で、焼く・溶かす・乾かすといった高温の工程が該当します。もう一つは塩素を含む薬剤を水の中で使う工程で、漂白や洗浄、湿式の集じんがここに入ります。どちらも「ダイオキシン類が生じうる場」という一本の理由で選ばれています。引っかけの核心は、規模の数字がきちんと書かれていて条文らしい体裁を備えているのに、着目している物質がまったく別の設備が一つ紛れている点です。数字の有無ではなく、何を心配して規制しているのかで切り分けます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(当てはまらない設備)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(該当する) | 鉄をつくる前工程で粉鉱を焼き固める炉です。高温で原料を焼く典型的な大気側の施設にあたります。 |
| (2) | ○(該当する) | 電気炉から集めたばいじんを再び加熱して金属を取り出す一連の炉で、これも大気側です。 |
| (3) | ○(該当する) | 紙の原料を塩素系の薬剤で白くする工程で、水側の代表格です。塩素と有機物が水中で出会います。 |
| (4) | ○(該当する) | 炉から出たガスを水で洗って粉じんを落とす設備で、洗った水の側に移るため水側に位置づけられます。 |
| (5) | ×(該当しない) | 重金属そのものの飛散を心配して置かれた別の法律の施設で、ダイオキシン類に着目した設備ではありません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
この肢の設備は、顔料や炭酸塩をつくる工程で原料を乾かすものです。ここで心配されているのは、重金属そのものが粉やガスになって外へ出ることであって、有機物が塩素と結びついて別の毒物に変わることではありません。心配の中身が違えば、規制の入り口となる法律も変わります。この種の乾燥施設は、有害物質を排出する設備として大気汚染防止法の側に並んでおり、ダイオキシン類の政令には出てきません。
惑わされやすいのは、容量による規模の下限がきちんと書き添えてある点です。特定施設の規定はどれも「〜であって、処理能力が〜以上のもの」という形で書かれるため、その形さえ整っていると本物に見えます。しかし規模の数字は、対象になった後でどこから拾うかを決める線引きにすぎません。まず対象かどうか、次に規模がいくつか、という順序を崩さないことが大切です。
逆に、残る四つは形も業種もばらばらに見えますが、理由をたどるとどれも同じところへ行き着きます。焼結や金属回収の炉は、原料や燃料に含まれる塩素分と炭素分が高温で出会う場です。パルプの漂白は塩素系の薬剤を有機物の塊にじかに作用させます。湿式の集じん装置は、炉のガスに乗ってきた成分を水側へ移し替える装置です。塩素源と炭素源が同じ場に居合わせるかどうかという一点で読めば、業種を知らなくても仕分けられます。この視点は、初見の設備名が出たときの最後の頼りになります。
覚え方
- 特定施設の基準は塩素源と炭素源が同じ場に居合わせるかの一点。
- 大気側は「焼く・溶かす・乾かす」炉、水側は「漂白する・洗う」工程と覚える。
- 金属名が付いていても、心配している物質が金属そのものなら別の法律の施設。
- 規模の数字は対象になった後の線引き。数字があるから対象、とは考えない。
理解度チェック
初めて見る設備名が並んだとき、特定施設かどうかを何で判断しますか。
塩素源と炭素源が同じ場に居合わせる工程かどうかです。高温の炉か、塩素系薬剤を水中で使う工程かで見当がつきます。
炉の排ガスを水で洗う集じん設備は、大気側と水側のどちらに置かれますか。
水側です。ガス中の成分が洗浄水へ移るため、排出水の管理として扱われます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
- ダイオキシン類対策特別措置法施行令 別表第1・別表第2
※ この記事の確認日:2026年7月