平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問24を解説|同位体比によるピークの確認
平成29年度 ダイオキシン類特論 問24は、クロマトグラムに現れた山が本当に目的物質のものかを判定する決まりを問う穴埋め問題です。空欄に入る語句と数値の組合せを選びます。
この問題のポイント
塩素には重さの違う二種類の原子があり、その混じり具合は自然界でほぼ決まっています。塩素を何個も抱えた分子では、その組合せから山の大きさの比が計算で予想できます。つまり予想どおりの比になっていない山は、目的物質ではないか、別のものが重なっていると判断できるわけです。空欄は、何を比べるのかという一点と、どこまでのずれを許すのかという二つの数値に置かれています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
各選択肢の正誤
| 空欄 | 入る語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | ピーク面積 | 山の頂点の値ではなく、囲まれた広さで比べます。形が崩れても総量を拾えます。 |
| イ | ±15 | 通常の濃度域で許されるずれの幅。ここを超えたら目的物質と認めません。 |
| ウ | ±25 | 信号が小さい領域では比のばらつきが大きくなるため、幅が広げられます。 |
ここが分かれ目
まず、比べる対象が高さではなく広さである点です。山の高さは、注入の具合やカラムの状態で簡単に変わります。同じ量が入っていても、幅が広がれば頂点は下がる。ところが囲まれた広さは、山が多少なまっても総量を保ちます。二本の山の比を取るという操作では、片方だけが幅広くなる場面も起こりうるので、高さで比べると本物を偽物と切り捨てる誤りが出ます。だから面積で判定します。
次が二つの数値の関係です。通常の濃度なら±15 %という枠で足りますが、濃度が低くなると信号そのものが小さく、数え上げる回数も減るため、比は本質的にばらつきます。そこで規格では、下限のすぐ上にあたる低濃度域について枠を±25 %まで広げています。この緩和がなければ、実際には存在している微量の成分を、比が合わないという理由だけで不検出にしてしまいます。濃度が低いほど枠を狭めるという逆の理解は、統計のふるまいと合いません。
この判定は単独では使われません。出てくる時刻がそろっていること、目印との比が合っていること、そして山の比が予想どおりであること。これらをすべて満たしてはじめて、その山を目的の化合物によるものと認めます。一つの条件だけで同定を済ませると、質量の近い妨害成分をつかまされます。塩素の数が違えば予想される比も変わるので、四塩素化物と五塩素化物では見るべき値そのものが違う点にも注意が要ります。
覚え方
- 比べるのは高さではなく面積。形が崩れても総量は保たれる。
- 予想される比は塩素の数から計算できる。数が違えば比も違う。
- 許容幅は±15 %、下限の近くでは±25 %まで広げる。
- 低濃度で枠が広がるのは、信号が小さいほど比がばらつくから。
- 同定は時刻・目印との比・山の比の三つがそろって初めて成立する。
理解度チェック
同位体の比を確かめるとき、山の高さではなく面積を使うのはなぜですか。
山の形が変わっても総量が保たれるからです。高さは注入やカラムの状態で簡単に上下します。
濃度が低い領域で許容の幅を広げるのはなぜですか。
信号が小さいほど比のばらつきが大きくなるからです。狭いままにすると、実在する微量成分を不検出にしてしまいます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 0311「排ガス中のダイオキシン類の測定方法」(同定における同位体存在比の許容範囲)
※ この記事の確認日:2026年7月