平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問23を解説|相対感度と保持時間の点検
平成29年度 ダイオキシン類特論 問23は、試料を測るたびに装置の状態が保たれているかをどう点検し、外れたときに何をするのかを問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
点検の対象は二本立てです。感度が最初に線を引いたときと変わっていないかという縦軸の話と、成分が出てくる時刻がずれていないかという横軸の話です。それぞれに許容の幅が決められていますが、いずれも目印との比で見る量のほうが、実測値そのものより厳しいという共通の思想で組まれています。引っかけの核心は横軸のほうで、二つの数値が入れ替えられています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 検量線に使った液から一つ以上を測り直し、そのときの感度を出すという手順どおりです。 |
| (2) | ○(正しい) | 二種類の感度に別々の許容幅が置かれており、規格が示す値と一致します。 |
| (3) | ○(正しい) | 外れたら原因を断ってから測り直すか、線を引き直すという二択になります。 |
| (4) | ×(誤り) | 規格では実測の時刻に±5 %、目印との比に±2 %を当てています。二つの数値が入れ替わっています。 |
| (5) | ○(正しい) | 最後に加える目印の山が痩せすぎていないかを確かめる決まりで、示された水準と合致します。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
成分が装置から出てくる時刻は、一日の中でも動きます。カラムの温度、気体の流れ、注入口の状態など、揺らぐ要素がいくつもあるからです。この揺らぎはその日測ったすべての成分に同じ向きで効きます。全体が少し早くなったり遅くなったりするだけなら、目的物質と目印の時刻の比はほとんど変わりません。だから実測の時刻そのものにはある程度の幅を許し、比のほうは狭く締めるという設計になります。規格では前者に±5 %、後者に±2 %を割り当てています。
問題の記述はこの二つを逆に置いています。実測の時刻に±2 %という狭い枠をはめると、装置が正常に動いていても日常的に枠を割ってしまい、点検が機能しません。逆に比のほうに±5 %という広い枠を与えると、本来なら異常として拾うべき成分の入れ替わりや妨害の混入を見逃します。比が動くというのは、目的物質と目印がそろって動いていないということで、そもそも同じ山を見ていない可能性を示すからです。
縦軸側の点検も、考え方は同じ筋です。目的物質を目印と比べたときの感度には狭い幅を、目印どうしを比べたときの感度にはやや広い幅を置きます。そして枠を外れたときにできることは二つしかありません。原因を取り去って測り直すか、検量線を作り直すかです。外れた値をそのまま採用したり、その場で補正係数を掛けて済ませたりするのは、いずれも認められていません。最後に加える目印の山が標準液に比べて痩せていないかという確認も、注入や装置側の不調を最終段でつかまえるための関門です。
覚え方
- 比は厳しく、実測は緩く。目印との比のほうが小さい許容幅になる。
- 時刻は実測に±5 %、目印との比に±2 %。
- その日の揺らぎは全成分に同じ向きで効くので、比なら打ち消せる。
- 枠を外れたときの手は二つだけ。原因を断って測り直すか、検量線を引き直すか。
- 最後に加える目印の山の大きさを標準液と比べ、痩せていないかを確かめる。
理解度チェック
実測の時刻より、目印との比のほうが許容幅を狭くするのはなぜですか。
その日の揺らぎは全成分に同じ向きで効き、比なら打ち消せるからです。比が動くのは、揺らぎでは説明できない異常を意味します。
点検の値が許容の枠を外れたとき、取りうる手立ては何ですか。
原因を取り去って測り直すか、検量線を作り直すかの二つです。外れた値をそのまま使ってはなりません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS K 0311「排ガス中のダイオキシン類の測定方法」(相対感度の確認、保持時間の変動の判定)
※ この記事の確認日:2026年7月