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平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問20を解説|検出下限から求める採取量

平成29年度 ダイオキシン類特論 問20は、装置がぎりぎり見分けられる量を出発点にして、煙道からどれだけ吸っておけば目標の濃度まで評価できるかを逆算する計算問題です。標準状態に直した体積を選びます。

この問題のポイント

与えられている感度は、装置に一回注いだぶんについての値です。目標として置かれているのは、ガス1立方メートルあたりの濃度です。この二つは同じ物差しの上に載っていないので、間に挟まった二回の取り分けをさかのぼる必要があります。抽出液から半分を取り出したこと、そして仕上がった検液からごく一部だけを装置に入れたことです。どちらも薄めたのではなく取り分けたので、元に戻す向きは掛け算になります。もう一つの落とし穴は単位で、目標がナノグラム、感度がピコグラムで示されており、そろえずに割ると桁が三つずれます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(3.1 m3

計算の手順

手順内容
手順1装置に入れたのは検液のごく一部なので、検液の全量に引き伸ばす。0.05 pg×(50 µL÷2 µL)=1.25 pg。
手順2その検液は抽出液の半分から作ったので、抽出液の全量に引き伸ばす。1.25 pg×(200 mL÷100 mL)=2.5 pg。
手順3目標の濃度を同じ接頭語にそろえる。0.0008 ng/m3=0.8 pg/m3
手順4採取量=抽出液全量に相当する量÷目標濃度=2.5 pg÷0.8 pg/m3=3.125となり、約3.1 m3。よって選択肢(2)。

ここが分かれ目

最初につまずきやすいのは比の向きです。仕上げた検液のうち、装置に入ったのは25分の1にすぎません。ですから装置が感じ取った量は、検液全体が抱えている量の25分の1です。全体に直すには25倍する。次に、その検液のもとになった液は抽出液の半分だったので、さらに2倍します。分子に元の全量、分母に実際に使った量と置く習慣をつけておけば、逆数を掛けてしまう事故は起きません。仮に比を裏返すと、手順1で0.002 pg、手順2で0.001 pgとなり、必要な体積は小数点以下の値になって、並んだ選択肢のどれとも合いません。

次が単位のそろえ方です。ナノグラムとピコグラムのあいだは1000倍で、目標として与えられた0.0008 ng/m3は0.8 pg/m3にあたります。ここを放置したまま2.5 pgを0.0008で割ると3125という数が出てきますが、見た目の数字の並びが正解に似ているだけで、体積としては桁が三つ大きいものです。選択肢がすべて一桁の値である以上、割り算に入る前に接頭語をそろえてください。

最後に、得られた値の読み方も確かめておきます。3.1 m3は、狙った濃度まで見えるようにするために下回ってはならない採取量であって、上限ではありません。これより多く吸えば、濃度に換算したときの限界はさらに低いところまで下がり、より薄い試料に対応できます。逆に採取量が足りなければ、装置の性能がいくら良くても目標の濃度は評価できません。規制値が厳しくなるほど現場の吸引時間が延びるのは、この関係から来ています。

覚え方

  • 取り分けた操作は掛け算で全量に戻す。分子が元の量、分母が使った量。
  • 接頭語をそろえてから割る。ngとpgは1000倍離れている。
  • 順番は、注入量から検液へ、検液から抽出液へ、そして濃度で割って体積へ。
  • 出てきた体積は必要な最小量。これより多く吸えば限界はさらに下がる。
  • 装置の感度が同じでも、採取量を変えれば報告できる濃度の下限は変わる。

理解度チェック

Q.

検液の一部だけを装置に入れたとき、検液全体に相当する量はどう求めますか。

検液の全量を注入量で割った倍率を掛けます。ここでは25倍にあたります。

Q.

求めた体積より少ない量しか吸えなかった場合、どうなりますか。

濃度に直したときの限界が目標より高くなり、狙った低濃度まで評価できません。装置の性能では補えません。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF