平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問14を解説|ろ過で取り除ける濁りの限界
平成29年度 ダイオキシン類特論 問14は、水の中に漂う細かい粒子を、砂の層や合成膜でどこまで捕らえられるのかを問う正誤問題です。誤っている記述を選びます。
この問題のポイント
粒子を水から取り去る方法は、大きく二系統に分かれます。砂などを厚く敷いた層に水を通す方法と、決まった孔径をもつ膜で押し切る方法です。膜のほうは孔の細かさが性能をそのまま決めるので理解しやすいのですが、砂の層は違います。層の隙間は捕まえたい粒よりはるかに大きく、それでも粒が留まるのは粒がろ材の表面にくっつくからです。引っかけの核心はここで、くっつく性質を持たない粒に対しては、どれだけ厚い層を通しても効き目が生まれません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 砂層の隙間は狙う粒よりはるかに大きく、目で受け止めるのではなく表面に留めて取ります。 |
| (2) | ×(誤り) | 互いに反発して集まらない粒は、ろ材に触れても留まらず、そのまま層の外へ抜けていきます。 |
| (3) | ○(正しい) | 精密ろ過膜の孔径はµmの桁で、菌体や目に見えない濁りの成分を止められます。 |
| (4) | ○(正しい) | 限外ろ過膜はさらに細かく、1 µmを下回る領域のたんぱく質や多糖のような大きな分子を止めます。 |
| (5) | ○(正しい) | 逆浸透膜は圧力で水だけを通し、分子量が数千の桁にある溶質まで押し止めます。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
砂層による処理で粒子が捕まるまでには、二つの段階が要ります。第一に、粒が水の流れに乗ってろ材の表面近くまで運ばれること。沈降、流線からのずれ、そして小さい粒では熱運動による拡散が、この運搬を担います。第二に、表面に触れた粒がそこに留まることです。第一段階だけなら粒の大きさや流速で決まりますが、第二段階は粒とろ材の表面がどんな電気を帯びているかで決まります。
水中に安定して漂う微粒子は、たいてい表面が同じ符号に帯電しています。だから互いに近づいても反発して合体せず、いつまでも分散したままです。同じ理由で、この粒はろ材の表面にも寄りつきません。触れても跳ね返り、流れに戻ってしまう。つまり集まる性質を欠いた粒子は、砂層を通しても取り除けません。層を厚くしても、流速を落としても、留まる仕組みが働かない以上は結果が変わらないのです。
この壁を越える手段が凝集剤の添加です。表面の電気を打ち消して反発をなくせば、粒どうしも合体し、ろ材にも付くようになります。薬剤を入れずに砂層だけで細かい濁りを取ろうとするのは、原理上むだな期待です。ダイオキシン類は水になじみにくく、その大半が微粒子に取り込まれた姿で流れていくので、この段取りを外すと除去率がそのまま落ちます。溶けている分まで狙うなら、活性炭吸着や逆浸透のように別原理の操作を後段に足すことになります。
覚え方
- 砂層のろ過はふるい分けではなく付着。だから隙間より小さい粒も取れる。
- 付着は電気で決まる。反発したままの粒は何をしても留まらない。凝集剤が前提。
- 膜は孔の粗い順に、精密ろ過・限外ろ過・ナノろ過・逆浸透の四段。
- 精密ろ過はµmの桁、限外ろ過はその下の大きな分子、逆浸透は分子量が数千のところまで。
- 水になじまない物質の除去は、まず固体を取り切ることから始まる。
理解度チェック
砂層のろ過で、隙間より小さい粒子まで捕らえられるのはなぜですか。
ろ材の表面に付着して留まるからです。目の細かさで受け止めているわけではありません。
安定に分散した微粒子を砂層で取るには、何を先に行いますか。
凝集剤で表面の電気を中和することです。反発をなくして初めて、ろ材への付着と粒どうしの合体が起こります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月