平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問13を解説|凝集沈殿の二段階と使う薬剤
平成29年度 ダイオキシン類特論 問13は、薬剤で微細な粒を集めて沈めるという排水処理について、対象の大きさ・二段階の仕組み・使う薬剤を述べた短い文の正誤問題です。下線を引いた五か所から、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
沈まない粒が沈まないのは、粒どうしが同じ符号の電気を帯びて反発し合っているからです。そこでまず反発を消して寄り集まれる状態にし、次に寄った粒どうしをつなぎ合わせて大きな塊に育てます。この二段階には、それぞれ役割の違う薬剤が対応します。引っかけの核心は、塊に育てる段でどちらの薬剤が働くかという一点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 下線 | 語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| (1) | 対象の粒径 | 重力に任せても実質的に沈まない細かさで、薬剤の助けなしには分けられません。千分の一マイクロメートルから一マイクロメートルまでの帯を相手にする処理だ、という前提を示す数値です。 |
| (2) | 荷電中和 | 粒の表面が帯びた電気を打ち消し、反発して離れ合う状態を解く操作です。第一段の役割にあたります。 |
| (3) | 架橋作用 | 長い分子が複数の粒にまたがって結び付き、橋を渡すように粒どうしをつなぎます。第二段の仕組みを言い当てた語です。 |
| (4) | 粗大化 | つながった粒が育って大きな塊になれば、重力で沈む速さが増して分離できるようになります。 |
| (5) | 無機凝集剤 | ×(誤り) 橋を渡す役目を担うのは、長い鎖状の分子をもつ高分子の薬剤です。無機の薬剤が受け持つのは、その前段にあたる反発の打ち消しのほうです。 |
下線(5)のポイント(ここが誤り)
二つの薬剤は、役割がはっきり分かれています。前段で使う無機の薬剤は、水の中で分解して正の電気を多く帯びた状態になり、負に帯びた粒の表面を打ち消します。反発が消えれば粒はぶつかって寄り集まれるようになりますが、この段階で得られるのはまだ小さく崩れやすい集まりです。ここで沈める槽へ送っても、上向きの流れですぐ舞い上がってしまいます。
そこで後段の薬剤が要ります。長い鎖状の分子が水中で伸び、その鎖の各所が別々の粒に吸い付くことで、粒どうしを橋で結びます。こうして育った塊は目に見える大きさになり、沈む速さがけた違いに上がります。橋を渡すには長い鎖が要るのですから、鎖をもたない無機の薬剤にこの役目は務まりません。下線は、二段階の薬剤を入れ替えて示したものです。
この処理はダイオキシン類の除去にも直に効きます。ダイオキシン類は水に溶けにくく、漂う粒の表面に付いた形で存在するため、粒を捕まえればダイオキシン類も一緒に取れます。逆にいえば、塊づくりが甘くて細かい粒が流れ出せば、そのまま漏れ出すことになります。
覚え方
- 凝集は二段構え。前段は電気の打ち消し、後段は分子の橋渡し。
- 打ち消しは無機の薬剤、橋渡しは高分子の薬剤。
- 架橋という語が出たら、高分子の薬剤を指す合図。
- 相手は重力では沈まない細かさの粒。だから薬剤で大きく育てる。
- ダイオキシン類は粒に付いている。粒を捕まえれば一緒に取れる。
理解度チェック
凝集の二段階では、それぞれどんな薬剤が働きますか。
前段は無機の薬剤、後段は高分子の薬剤です。前段は反発を打ち消し、後段は粒どうしを橋で結びます。
架橋作用という語は、どちらの薬剤を指す手がかりになりますか。
高分子の薬剤です。長い鎖状の分子が複数の粒にまたがることで、橋が架かります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月