平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問10を解説|粉じんから亜鉛を取り戻す道筋
平成29年度 ダイオキシン類特論 問10は、電気炉で集めた粉じんから亜鉛を取り出す工程を、装入・還元・回収の順にたどった短い文の正誤問題です。下線を引いた五か所から、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
亜鉛は沸点が低く、還元されると気体になって出ていきます。この性質を使い、炭素分と一緒に高温にして亜鉛を蒸気として追い出し、炉の外で固体に戻して集めます。肝心なのは、外へ出した蒸気をどんな雰囲気で冷やすかです。冷やし方の指定が入れ替えられているのがこの問題の仕掛けで、ダイオキシン類の対策で登場する急冷の話と混ざりやすくなっています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 下線 | 語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| (1) | コークス | 一緒に入れる炭素分が還元剤として働き、酸素と結び付いた姿でいる亜鉛から酸素を奪います。 |
| (2) | 溶鉱炉 | 塊状の原料を高温で還元する縦型の炉として、実際に用いられる設備です。 |
| (3) | ロータリーキルン | 横向きの筒を回しながら加熱する炉で、粉状の原料を扱うこの用途に広く使われています。 |
| (4) | 不活性雰囲気 | ×(誤り) 追い出した蒸気は、空気に触れさせて酸素と結び付かせ、粉状の酸化物として捕まえます。酸素を断った雰囲気で冷やすという指定は成り立ちません。 |
| (5) | 一次製錬原料 | こうして得た粉は、亜鉛を取り出す製錬の工程へ原料として送られます。 |
下線(4)のポイント(ここが誤り)
炉の中で亜鉛は還元されて金属の蒸気になり、気体の流れに乗って外へ出ます。この蒸気を酸素のない状態のまま冷やせば、細かい金属の粉になります。ところが金属のままの細かい粉は、空気に触れた瞬間に激しく酸化して発熱する危ない相手で、扱いも保管も難しくなります。そこで実際の工程では逆に、炉を出たところで空気を導き、酸素と結び付かせて安定な酸化物に変えてから集めます。集めるのは繊維の層でこし取る方式で、得られる粉は亜鉛を高い割合で含みます。
この設問がまぎらわしいのは、急冷という語がダイオキシン類の分野では別の文脈で頻繁に登場するからです。焼却の設備では、いったん分解した塩素化合物が冷える途中の温度帯で組み上がり直すのを防ぐため、その温度帯を素早く通過させます。そちらの急冷は組み上がり直しを防ぐための操作であって、金属の蒸気を製品の姿に変えるための操作ではありません。同じ語でも目的がまるで違うため、どちらの話をしているのかを取り違えないことが要点になります。なお、塩素を抱えた粉じんを再び高温にかける工程ですから、この設備自体もダイオキシン類の発生源として扱われます。
覚え方
- 亜鉛回収の要は還元して蒸気にし、空気に触れさせて酸化物として捕まえる。
- 酸素を断ったまま冷やすと金属の細かい粉になり、扱いが危ない。
- 一緒に入れる炭素分は還元剤。縦型の炉でも回転する筒の炉でも成立する。
- 得られた粉は亜鉛の製錬原料になる。埋め立てずに資源として回す。
- 急冷という語は、組み上がり直しを防ぐ話と混ざる。目的で区別する。
理解度チェック
追い出した亜鉛の蒸気は、どんな雰囲気で冷やしますか。
空気を導いて酸化させます。安定な酸化物の粉に変えてから捕まえます。
焼却の設備でいう急冷とは、目的がどう違いますか。
あちらは組み上がり直しを防ぐための操作です。金属の蒸気を製品の姿に変えるための冷却とは別物です。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月