平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問9を解説|電気炉から出る煙と粉じん
平成29年度 ダイオキシン類特論 問9は、鉄くずを電気の熱で溶かす炉から出る煙と、そこで集められる粉じんの性質を述べた記述の正誤問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
この炉は、原料を入れ、溶かし、成分を整え、取り出すという流れを繰り返す運転で、ひと続きの間でも中の様子が刻々と変わります。煙の温度も成分も一定にはならず、粉じんは細かい粒が主体になります。誤りの四つは、変動を一定と言い切る、濃さの高低を逆にする、集じんの方式を取り違える、粉じんの化学的な姿を取り違えるという四方向に散らばっています。一定・低い・湿式・塩化物という四つの語が、それぞれ検算の入口です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 原料を入れて溶かし、成分を整えて取り出すまでを繰り返す運転です。溶ける段階と整える段階では、温度も発生する気体も大きく変わります。 |
| (2) | ×(誤り) | 建屋側の大量の気体と合わせれば、そのぶん薄まって温度も下がります。炉から直に吸う分だけを扱う系統のほうが、濃いまま処理することになります。 |
| (3) | ×(誤り) | 実際に据えられているのは、乾いた状態で使うろ過式の装置が主流です。水を使う電気式が一般的とはいえません。 |
| (4) | ○(正しい) | 溶けた金属から蒸発した成分が冷えて固まるため、粉じんはきわめて細かい粒が主体になります。示された範囲は、この実態に合っています。 |
| (5) | ×(誤り) | 主体を占めるのは、金属が酸素と結び付いた姿です。塩素と結び付いている分は、ごく一部にとどまります。 |
選択肢(4)のポイント(ここが正解)
この炉の粉じんは、削れて飛んだ粉ではなく、いったん蒸気になった金属が冷えて固まったものが主役です。アークの当たる場所は極端な高温になり、そこで蒸発した金属が炉の外へ運ばれる途中で冷え、微細な粒として析出します。こうしてできる粒は、砕いたり削ったりしてできる粒より、けた違いに細かくなります。示された範囲は、この生い立ちにそのまま対応しています。
細かいという事実は、そのまま設備の選び方に効いてきます。粗い粒を落とすだけの方式ではまったく歯が立たないため、繊維の層でこし取る乾いた方式が事実上の標準になります。同時に、細かい粒は表面積が大きく、冷える過程で気体の成分を吸い付けやすいという性質も持ちます。ダイオキシン類が粉じん側に多く分配されるのはそのためで、粉じんを確実に捕まえることが排出の抑制へ直結します。さらに、この粉じんには亜鉛が濃縮されるため、埋め立てずに亜鉛の原料として回収する道筋がつくられています。
覚え方
- 電気炉の粉じんは蒸発した金属が冷えて固まった細かい粒が主体。
- 細かいから、ろ過式の乾いた集じんが標準になる。
- 運転はひと山ごとの繰り返し。温度も気体の組成も一定にはならない。
- 大風量の建屋側と合わせれば薄まる。直に吸う側のほうが濃い。
- 粉じんの金属は主に酸素と結び付いた姿。塩素と結び付く分は一部。
理解度チェック
電気炉で集められる粉じんが細かいのはなぜですか。
蒸発した金属が冷えて固まってできるからです。砕けてできる粉より、けた違いに細かくなります。
炉から直に吸う気体と、建屋の気体を合わせた気体では、濃さはどう違いますか。
合わせたほうが薄くなります。大量の気体で薄められ、温度も下がるためです。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月