平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問8を解説|鉄鉱石焼結と塩素の持ち込み
平成29年度 ダイオキシン類特論 問8は、粉状の鉄鉱石を焼き固める工程について、塩素分がどこから来て、どんな姿で存在し、どこへ動くかを述べた記述の正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この工程で生まれるダイオキシン類は、原料に混じって持ち込まれる塩素分に強く支配されます。塩素分の出どころは、鉱石や副原料に付いてくる塩の類で、海のそばで積まれる間に付着するものも含まれます。焼き固める層の中には高温の部分と低温の部分が同時に存在し、塩素分は揮発と凝縮を繰り返しながら動きます。引っかけの核心は、持ち込まれる塩素分がどんな化合物の姿をしているかという一点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 海沿いで野積みされている間に、潮を含んだ風が運んだ塩が原料に付着します。持ち込みの経路として実際に挙げられるものです。 |
| (2) | ○(正しい) | 原料が抱えている塩素分はごくわずかで、示された水準にとどまるのが通常です。それでも生成には十分に効いてきます。 |
| (3) | ×(誤り) | 層の中にある塩素は、金属と結び付いた無機の塩の姿が主体です。炭素の骨格に塩素が付いた化合物として持ち込まれているわけではありません。 |
| (4) | ○(正しい) | 原料の塩素分が多いほど生成量も多くなるという傾向がはっきり出ており、塩素分の管理が対策の柱になります。 |
| (5) | ○(正しい) | 高温部で揮発した塩素分は下流の低温部や集じん機で粉じん側へ移り、その粉じんが原料に戻されるため工程の中をめぐります。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
持ち込まれる塩素分の正体は、海の塩に代表される金属と塩素が結び付いた塩です。鉱石の粒に付いた塩、副原料が持ち込む塩、それに戻された粉じんが抱えている塩が、そのまま層の中へ入ります。これらは炭素の骨格を持っていません。炭素に塩素が付いた化合物として持ち込まれるわけではないという点が、この設問の核心です。層の中で塩素と炭素が出会うのは、あくまで別々に持ち込まれたものが高温で反応した結果にすぎません。
生成の道筋を追うと、この違いの意味がはっきりします。層の中では、まず高温の部分で塩が分解したり揮発したりして、塩素が気体の姿で動けるようになります。その塩素が、燃料や原料に由来する炭素分と、粉じんに含まれる金属の助けを借りて低温の部分で結び付き、環をもつ塩素化合物が組み上がります。はじめから塩素化された有機物が入っていると考えると、この組み上がりの過程そのものが説明できなくなります。だからこそ、原料の塩素分を減らすことと、塩素を抱えた粉じんの戻し方を管理することが、そのまま対策になるのです。
覚え方
- 焼結の塩素は無機の塩として持ち込まれる。有機の塩素化合物として入るのではない。
- 出どころは潮風や原料に付いた塩、そして戻された粉じん。
- 塩素分が多いほど生成量も多い。原料側の管理が最優先。
- 揮発と凝縮で工程内をめぐるため、粉じんの戻し方が効いてくる。
- 生成は「塩素・炭素・金属・低温部」がそろって初めて起きる。
理解度チェック
焼き固める層の中で、塩素はどんな姿で存在していますか。
金属と結び付いた無機の塩が主体です。炭素に塩素が付いた化合物として持ち込まれるわけではありません。
原料の塩素分を管理することが対策になるのはなぜですか。
塩素分が多いほど生成量が多くなるからです。持ち込みを減らすことが、そのまま生成の抑制につながります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月