平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問7を解説|吸着層の破過曲線と破過点
平成29年度 ダイオキシン類特論 問7は、吸着剤を詰めた層に流体を通し続けたときの出口の様子について、図の呼び名・曲線の形・限界の点の呼び名を埋める組合せ問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
層に詰めた吸着剤は、入口の側から順に飽和していきます。吸着が進んでいる帯が層の中をゆっくり下っていき、その帯が出口に届いたときから、捕まえきれなかった分が出口に現れ始めます。流し始めからの経過を横の軸に、出口側の濃さを縦の軸にとると、この様子が一本の曲線として描けます。分かれ目は、時間を横の軸にとった図と、釣り合いの関係を表す図を混同しないことです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)
各選択肢の正誤
| 空欄 | 入る語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | 破過曲線 | 流し始めてからの時間に対して、出口の濃度がどう立ち上がるかを描いた図です。もう一方の候補である吸着等温線は、温度を一定に保ったときの釣り合いの濃度と吸着量の関係を表す別の図で、横軸に時間はとりません。 |
| イ | S字形曲線 | はじめのうち出口の濃度はほぼ零のまま推移し、吸着が進む帯が出口に達すると立ち上がり、層全体が飽和に近づくと頭打ちになります。寝た形から立ち上がってまた寝る、Sを引き延ばした形です。 |
| ウ | 破過点 | 出口の濃度が、あらかじめ決めておいた許してよい値に届いた時点です。運転を切り替える合図になり、これを過ぎて流し続けると出口の濃度は入口の濃度に近づいていきます。 |
ここが分かれ目
最初の空欄でつまずく人の多くは、吸着といえば等温線という連想でつかまります。しかし等温線は、温度を一定にしたうえで、まわりの濃度と吸着された量が釣り合う関係を表す図であり、時間という軸を持ちません。ここで問われているのは流し続けたときの出口の変化ですから、横軸は時間です。横軸が何かを見れば、どちらの図かは即座に決まります。
曲線の形は、層の中で何が起きているかを思い描けば決まります。流し始めは入口側の新しい吸着剤がすべてを捕まえるので、出口には何も出てきません。時間がたつと入口側から飽和していき、吸着が進んでいる帯が下流へ移動します。帯が出口に届くと出口の濃度が上がり始め、層全体が飽和すると入口と同じ濃度に落ち着きます。この三つの段階が、寝て・立ち上がって・また寝るという形をつくります。真っすぐな直線になるのは、この三段階を無視した形です。
最後の空欄は、運転を止める判断の話です。出口の濃度が許してよい値に達した時点で、吸着剤を切り替えるか再生します。層が完全に飽和するまで待つ運転はしません。切り替えの判断は決められた値との比較で行い、その値は排出の基準や後段の設備の都合から決まります。
覚え方
- 横軸が時間なら破過曲線、横軸が釣り合いの濃度なら吸着等温線。軸を見て図を決める。
- 破過曲線はSを引き延ばした形。吸着の帯が層の中を移動するため。
- 破過点=出口の濃度が許してよい値に届いた時点=切り替えの合図。
- 飽和まで使い切る運転はしない。破過点で止める。
- 層を長くとるほど破過までの時間は延びるが、装置は大きくなる。
理解度チェック
破過曲線と吸着等温線は、どこで見分けますか。
横軸です。破過曲線は流した時間を、吸着等温線は釣り合ったときの濃度をとります。
破過点とは、何をもって定める点ですか。
出口の濃度が、あらかじめ許してよいと決めた値に達した時点です。ここで吸着剤を切り替えます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月