平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問6を解説|触媒による分解と空間速度
平成29年度 ダイオキシン類特論 問6は、煙に残ったダイオキシン類を触媒の力で分解する処理について、置き場所・形・指標・寿命を述べた記述の正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
触媒はガスの中の成分を表面に吸い付け、そこで酸素と反応させて壊します。働くのは表面だけなので、どれだけ広い表面をどれだけの体積に詰め込めるか、そしてガスがその中をどれだけの速さで通り抜けるかが性能を決めます。この通り抜けの速さを表す指標の作り方に、引っかけが仕込まれています。割る相手が触媒の体積か、それとも重さかという一点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 気体のまま触媒の表面に吸い付き、そこで酸素と反応して分解されます。表面まで届かなければ反応は始まりません。 |
| (2) | ○(正しい) | 粉じんが触媒の細かい穴をふさいでしまうため、先に粉じんを取り除いてから通すのが基本の並びです。 |
| (3) | ○(正しい) | 蜂の巣状の通路にすれば、広い表面を確保しながらガスをまっすぐ通せるので、抵抗を低く抑えられます。 |
| (4) | ×(誤り) | ガスの流量を割る相手は触媒の体積です。重さで割ると、単位時間に何回入れ替わるかという、この指標が本来もつ意味が失われます。 |
| (5) | ○(正しい) | 触媒の表面に別の成分が居座ると、分解したい相手が吸い付ける場所が減り、性能が落ちていきます。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
この指標は、触媒が占めている空間の体積を、そこを通るガスが単位時間にどれだけ入れ替えるかを表しています。流量を体積で割るので、残る単位は時間の逆数になります。値が大きいほどガスは速く通り抜け、触媒に触れている時間は短くなります。逆に値を小さくすれば長く触れさせられるので分解は進みますが、必要な触媒の量が増え、装置は大きく高価になります。重さで割ってしまうと単位が変わり、入れ替わりの回数という意味づけが成り立ちません。
体積で割ることには実務上の理由もあります。触媒は蜂の巣状に成形されて使われ、中身の詰まり方は製品によって違います。同じ重さでも、通路の壁が薄ければ占める体積は大きく、ガスの通り道も長くなります。装置の大きさを決めるのは重さではなく、そこに詰める塊としての体積です。設計では、必要な分解の割合から許される入れ替わりの速さを決め、それに処理するガスの量を掛けて、詰めるべき体積を出します。
覚え方
- 空間速度=ガスの流量÷触媒の体積。単位は時間の逆数。
- 値が大きい=速く通る=触れる時間が短い。分解を進めたければ値を下げる。
- 触媒は集じんの後ろに置く。粉じんは穴をふさぐ。
- 蜂の巣状は「広い表面」と「低い抵抗」を両立させる形。
- 表面を他の成分に占領されるのが、劣化の正体。
理解度チェック
空間速度は、何を何で割って出す量ですか。
ガスの流量を、触媒の体積で割ります。単位は時間の逆数になり、ガスが何回入れ替わるかを表します。
触媒の反応器を集じんの後ろに置くのはなぜですか。
粉じんが触媒の穴をふさぐからです。先に粉じんを落としてから触媒に通します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月