平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問5を解説|スクラバーが微粒子を捕らえる仕組み
平成29年度 ダイオキシン類特論 問5は、液体を捕まえ役に使う洗浄式の集じんについて、粒子を捕らえる仕組みを述べた記述の正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
液の粒や液の膜を気流の中に置くと、粒子はそこに当たって取り込まれます。ただし当たり方には何通りかあり、粒子の大きさによって主役が入れ替わります。重い粒子は流れの曲がりについていけずに正面から突き当たり、軽い粒子は流れに乗ったまますり抜けますが、その代わりに気体分子に小突かれてふらつき、偶然に触れて捕まります。引っかけの核心は、細かい粒子ほど正面衝突が効くと読ませる一文にあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 液の粒、液の膜、あるいは泡の表面が捕まえ役になります。固い面ではなく液体を使う点が、この方式の特徴です。 |
| (2) | ○(正しい) | 捕まえ役の液そのものが気流に運ばれてしまうため、下流で液を分けて回収する仕組みが欠かせません。 |
| (3) | ○(正しい) | 突き当たりによる捕集の効き方は、捕まえ役の形と、流れの性質、粒子が流れからどれだけ外れるか、そして粒子と捕まえ役の大きさの比で決まります。 |
| (4) | ×(誤り) | 流れに素直に従う細かい粒子では、正面から突き当たる働きはほとんど効きません。主役になるのは、気体分子に小突かれてふらつく動きのほうです。 |
| (5) | ○(正しい) | 流れに乗ったまま運ばれてきた粒子でも、たまたま液の面に触れれば取り込まれます。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
正面から突き当たるかどうかを決めるのは、粒子が流れの曲がりにどれだけついていけないかという性質です。粒子が重く、速く運ばれてくるほど、まっすぐ進もうとする性質が勝ち、流れが捕まえ役を避けて曲がっても粒子は曲がりきれずに突き当たります。ところが粒子が細かくなると、この性質は急速に弱まります。流れに素直に従ってしまい、捕まえ役の脇をすり抜けていくのです。したがって細かい粒子ほど、突き当たりによる捕集は当てにできません。
代わりに主役になるのが、気体分子の衝突によるふらつきです。細かい粒子は絶えず分子に小突かれ、流れの筋から外れて不規則に動きます。この動きは粒子が細かいほど激しくなるため、細かい側では捕集の効き方がむしろ持ち直します。結果として、突き当たりが効かなくなり、ふらつきもまだ効かない中間の大きさに、いちばん捕りにくい谷ができます。液を使う装置で細かい粒子まで捕ろうとすれば、気流と液の速度差を大きくして突き当たりを強めるか、液の粒を細かくして出会う機会を増やすことになり、いずれも通気の抵抗と水の消費が増える方向へ働きます。
覚え方
- 捕集の主役は粒径で交替。粗い側は突き当たり、細かい側はふらつき。
- その間に、いちばん捕りにくい大きさの谷ができる。
- 液を使う装置では、捕まえ役の液を下流で分ける工程が必ず要る。
- 細かい粒子を捕るには速度差を大きくするしかなく、抵抗と水の消費が代償になる。
- 流れに乗ったままの粒子でも、触れれば捕まる。
理解度チェック
細かい粒子で正面からの突き当たりが効かなくなるのはなぜですか。
流れの曲がりに素直に従ってしまうからです。まっすぐ進もうとする性質が弱く、捕まえ役の脇をすり抜けます。
洗浄式の装置で、捕まえ役の液はそのあとどうなりますか。
下流で気流から分けて回収します。液は気流に運ばれてしまうため、分離の工程が欠かせません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月