平成29年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問2を解説|ろ布の圧力損失は何に比例するか
平成29年度 ダイオキシン類特論 問2は、ろ過式の集じん装置で生じる通気の抵抗が、何によってどう変わるかを述べた記述の正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
通気の抵抗は、布そのものが持つ抵抗と、そこにたまった粉じんが持つ抵抗の足し算で決まります。糸を織って作った布は薄くて目が通っており、粉じんは表面に層をつくります。一方、繊維を絡めて厚みを持たせた布は内部にも粉じんが入り込み、たまるほど隙間が詰まっていきます。この作りの違いが、抵抗の増え方の違いになって現れます。引っかけの核心は、何に比例するのかという相手を取り違えさせるところにあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 抵抗が二つの足し算だという出発点です。以降の記述はすべて、この二項のどちらが効くかという話に整理できます。 |
| (2) | ×(誤り) | 織った布で成り立つのは、ガスが布を通る速さに対して抵抗が真っすぐ増えるという関係です。比例の相手が別のものに置き換えられています。 |
| (3) | ○(正しい) | 織った布は薄く目が通っているため、布そのものの抵抗は表面にできる粉じんの層に比べて小さく、実用上は無視して扱えます。 |
| (4) | ○(正しい) | 厚みがあり、表面に膜を貼った製品もあるため、布そのものの抵抗を無視すると計算が合わなくなります。 |
| (5) | ○(正しい) | 粉じんが入り込んで隙間が詰まると、速さに対する抵抗の増え方が真っすぐより急になります。指数が一を超えるのはそのためです。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
この記述は、最後の記述と対になる位置にあります。厚みのある布については、速さを上げたときの抵抗が一乗より急な増え方をすると示されていますから、その対として、薄く目の通った織った布では速さに対して真っすぐ増える、すなわちガスが布を通る速さに比例すると述べるのが本来の姿です。表面にできた粉じんの層をガスがゆっくり通り抜ける流れは、速さと抵抗が一次で結ばれる素直な関係になるからです。
たまった量の話は、これとは別の軸で入ってきます。粉じんがたまれば層は厚くなり、抵抗も増えます。しかしそれは前の記述が触れている、布そのものと層との大小比較の文脈にある話で、織った布と厚みのある布を分ける決め手にはなりません。堆積が進むほど抵抗が増えるのは、どちらの布でも同じだからです。二つを分けているのは、あくまで速さに対する増え方が真っすぐか、それより急かという一点にあります。ここを押さえておけば、比例の相手がすり替えられていることに気付けます。
この増え方は、そのまま運転の設計に効いてきます。抵抗が上がりすぎる前に粉じんを振り落として初めの状態へ戻す運転を繰り返しますが、払い落としても完全には戻りません。戻りきらない分が積み上がっていくため、長い目で見た抵抗の底上げが、布を取り替える時期の目安になります。
覚え方
- 抵抗は布そのもの+たまった粉じんの層の足し算。
- 織った布は薄く、布そのものの抵抗は無視してよい。厚い布は膜もあるため無視すると合わない。
- 速さへの依存は、織った布なら真っすぐ、厚い布なら真っすぐより急。
- 比例と書かれたら「何に対して」を必ず確認する。
- 抵抗の上がり方が払い落としの間隔を決め、戻りきらない分が寿命を決める。
理解度チェック
織ったろ布と厚みのあるろ布で、通気の抵抗の増え方はどう違いますか。
速さに対する増え方が違います。織った布は速さに比例し、厚い布は隙間が詰まる分だけ急に増えます。
使い始めの織ったろ布で、布そのものの抵抗を無視してよいのはなぜですか。
粉じんの層の抵抗に比べて小さいからです。薄く目が通っているため、支配するのは表面にできる層のほうになります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月