平成30年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問1を解説|雨による洗浄とダウンウォッシュの取り違え
平成30年度 大規模大気特論 問1は、大気汚染物質の環境濃度を変化させる諸過程についての記述中、下線を付した箇所のうち誤っているものを選ぶ問題です。
この問題のポイント
この問題は、汚染物質が大気中で薄まるだけでなく、地面や植物に取り込まれたり雨に洗い落とされたり、反応して別の物質に変わったりすることを押さえているかを問うています。引っかけの核心は雨がもたらす除去のしくみに、別の現象の名前を当てている点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている箇所)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 粒子状物質だけでなく、反応性のあるガスも大気中で変化や除去を受けます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 風に運ばれて薄まる拡散過程は、環境濃度を決める土台になる過程です。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 地面・植物・建物などの表面に取り込まれる沈着は、雨がなくても進みます。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 雨が汚染物質を取り込んで地表へ運ぶのは湿性沈着(雨による洗浄)です。ダウンウォッシュは建物や煙突の後ろにできる下降流に煙が巻き込まれる現象で、雨とは関係ありません。 |
| (5) | ○(正しい) | 光化学反応などで新たに生じる二次汚染物質も、環境濃度を変化させます。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
大気から汚染物質が抜けていく道筋は大きく2つあります。雨が降っていなくても地面や植物の表面に取り込まれていくのが乾性沈着、雨や雪が汚染物質を取り込んで地表へ運ぶのが湿性沈着です。設問の下線部は、この湿性沈着にあたる現象を指しているのに、「ダウンウォッシュ」という無関係の用語を当てはめています。
ダウンウォッシュは、建物や煙突そのものが風を乱してつくる下降流に煙が引き込まれる現象です。煙が高く上がらずに建物の風下へ巻き込まれ、近くの地上濃度をかえって高めてしまうため、煙突を建物の高さの2倍以上にするといった設計上の配慮が必要になります。除去の話ではなく拡散を妨げる側の話だという点で、湿性沈着とは向きが正反対です。
覚え方
- 大気からの除去は2本立て。雨なし=乾性沈着/雨あり=湿性沈着。
- ダウンウォッシュは建物や煙突の後ろの下降流に煙が巻き込まれる現象。除去ではなく拡散を妨げる側。
- 濃度を動かす過程は「拡散・沈着・変質」の3系統。薄まる/取り除かれる/別の物質に変わるで整理する。
- 二次汚染物質は発生源から出たものではない。大気中で反応して生まれるので、排出量だけ見ても読めない。
理解度チェック
乾性沈着と湿性沈着の違いは何ですか。
雨や雪を介さずに地面・植物・建物などの表面へ取り込まれるのが乾性沈着、雨や雪が汚染物質を取り込んで地表へ運ぶのが湿性沈着です。ダウンウォッシュはどちらでもありません。
ダウンウォッシュとはどのような現象ですか。
建物や煙突が風を乱してつくる下降流に煙が巻き込まれる現象です。煙が高く上がらず近くの地上濃度を高めてしまうため、煙突高さの確保などの配慮が必要になります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月