平成29年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問9を解説|清掃工場のばいじん処理の主役はろ過式
平成29年度 大規模大気特論 問9は、都市ごみの清掃工場で生じる有害な物質と、それを始末する主力の技術の対応づけについての問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
都市ごみの清掃工場では、ばいじん・酸性のガス・窒素酸化物・ダイオキシン類・水銀を、ひと続きの処理列でまとめて始末します。問われているのは、それぞれの物質に対して実際に主力として据えられている技術かどうかです。引っかけの核心は、原理としては使えても求められる除去性能には届かない装置を主役の位置に置いてある点にあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 遠心力で粒子を振り分ける装置は、粗い粒子の先取りには役立ちますが細かい粒子を捕らえきれません。清掃工場のばいじん処理の主役はろ過式集じん装置です。 |
| (2) | ○(正しい) | 塩化水素は水に溶けやすい酸性のガスなので、アルカリの液で洗う湿式の方法で吸収して取り除けます。 |
| (3) | ○(正しい) | アンモニアと触媒で窒素酸化物を窒素へ還元する方式は、清掃工場でも採用されています。 |
| (4) | ○(正しい) | ダイオキシン類は活性炭に吸着させて捕らえます。吹き込み方式と吸着塔方式のいずれも使われます。 |
| (5) | ○(正しい) | 水銀は排ガスの温度を下げると粒子側へ移りやすくなるため、温度を下げたろ過式集じん装置で捕集できます。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
遠心力で粒子を振り分ける装置は、旋回させたガスの外側へ重い粒子を飛ばして落とす仕組みです。原理上、粒子が軽くなるほど分離しにくくなり、細かいものはガスと一緒に抜けていきます。ところが清掃工場の排ガスに含まれるばいじんは細かく、しかもその表面にダイオキシン類や重金属が付着しています。粗取りの装置を主たる処理方法に据えれば、最も危険な微細粒子とそこに乗った有害物質を素通りさせることになります。
実際に主役を務めているのはろ過布を使う集じん装置です。ろ布の表面にたまった粉の層そのものがこし取る役割を果たすため、細かい粒子まで高い割合で捕らえられます。さらに大きいのは、ここが薬剤との反応の場を兼ねるという点です。上流で消石灰や活性炭を吹き込んでおけば、ろ布の上の層で酸性のガスの中和とダイオキシン類・水銀の吸着が同時に進みます。一台で複数の対策を担えるので、清掃工場の処理列の中心に据えられています。
遠心力式が無意味というわけではありません。粉体を大量に扱う工程で前段の粗取りとして置く使い方は今もあります。問われているのが「主な処理方法」である以上、そこに粗取り用の装置を当てはめてはならない、という読み方が要点です。
覚え方
- 清掃工場のばいじん処理の主役はろ過式集じん装置。遠心力式は粗取り止まり。
- ろ過式は薬剤の吹込みとセットで効く。ろ布上の粉の層が反応の場になる。
- 水銀は冷やして粒子側へ移す。低温化+吸着+ろ過が基本の組立て。
- 酸性のガスはアルカリで中和。湿式なら液で洗い、乾式なら消石灰を吹き込む。
理解度チェック
遠心力で分離する集じん装置が、清掃工場の主力になれないのはなぜですか。
細かい粒子ほど遠心力で振り分けにくく、捕集の割合が落ちるためです。清掃工場のばいじんは細かいうえにダイオキシン類や重金属が付着しているので、素通りさせるわけにいきません。
ろ過式集じん装置が清掃工場で重宝されるのはなぜですか。
細かい粒子まで高い割合で捕らえられるうえ、上流で吹き込んだ消石灰や活性炭がろ布上の層で反応・吸着する場になり、酸性ガス・ダイオキシン類・水銀の対策を兼ねられるからです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月