平成29年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問10を解説|クラウス法は硫黄を回収する後段の技術
平成29年度 大規模大気特論 問10は、国内の製鉄における一連の製造工程と、そこで用いられる環境対策についての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
鉄鋼業は工程が多く、それぞれから違う汚染物質が出ます。この問題は、どの工程が何の発生源で、どの技術がどこを担うのかという対応づけを問うています。引っかけの核心は、他の業種でよく知られた技術の名前が、本来担っていない工程に貼りつけられている点です。名前を知っているだけだと、そのまま見過ごしてしまいます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 鉄鉱石や石炭を大量に使い、還元と加熱に多くのエネルギーを投じる産業なので、環境への負荷も相応に大きくなります。 |
| (2) | ○(正しい) | 鉄鉱石の粉を焼き固める工程が、鉄鋼業の硫黄酸化物の主要な発生源です。 |
| (3) | ×(誤り) | これは回収した硫化水素を単体の硫黄に変える技術の名前で、燃料ガスから硫化水素を抜き取る工程そのものを指しません。製鉄所では、ガス中の成分を利用した湿式の吸収法などで除去します。 |
| (4) | ○(正しい) | 原料の受入れから焼結、製銑、製鋼、圧延まで、粉じんの出どころは工程全体に散らばっています。 |
| (5) | ○(正しい) | 排ガスの脱硝には、アンモニアを触媒の上で反応させて窒素酸化物を還元する方式が用いられています。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
クラウス法は、濃度の高い硫化水素ガスを原料として、その一部を燃やして二酸化硫黄をつくり、残りと触媒の上で反応させて単体の硫黄として取り出す方法です。もともと石油の水素化脱硫で大量に生じる硫化水素の始末をつけるために普及した技術で、すでに集められた硫化水素を製品に変える後段の工程にあたります。
これに対して、コークス炉から出るガスは水素やメタンを含む燃料ガスで、硫化水素は薄く混ざった不純物にすぎません。ここから硫化水素を抜き取るには、ガスを液に接触させて溶かし込む湿式の吸収法が使われます。この燃料ガスにはアンモニアも含まれるため、それをアルカリとして働かせる方式もあり、外から薬剤を持ち込まずに済むという利点があります。除去を担う前段の技術と、回収物を製品に変える後段の技術を入れ替えているところが、この記述の誤りです。
この型の設問では、技術の名前が正しくても担当する工程がずれていれば誤りになります。装置名を覚えるときは、何を相手にして何を出すのかという入口と出口をセットで押さえておくと、貼り替えの引っかけに引っかかりません。
覚え方
- 鉄鋼の硫黄酸化物の主な発生源は焼結の工程。高炉ではない。
- コークス炉ガスの脱硫は湿式の吸収法。ガス中のアンモニアをアルカリに使う方式もある。
- クラウス法は硫化水素を硫黄に変える回収の技術。石油精製の脱硫とセットで覚える。
- 脱硝は業種を問わずアンモニアによる触媒還元が基本形。技術名は工程とセットで覚える。
理解度チェック
クラウス法とはどのような技術ですか。
濃度の高い硫化水素の一部を燃やして二酸化硫黄をつくり、残りと触媒の上で反応させて単体の硫黄として回収する技術です。石油精製の脱硫で生じる硫化水素の処理に広く使われます。
鉄鋼業で硫黄酸化物の主な発生源となるのはどの工程ですか。
鉄鉱石の粉を焼き固める焼結の工程です。原料や燃料に含まれる硫黄分が、この工程の排ガスとして出てきます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月