平成29年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問7を解説|排煙処理は温度が下がる順に並ぶ
平成29年度 大規模大気特論 問7は、国内の石炭火力発電所でいちばん多く採用されている排煙処理装置の並び順を、ア~ウの語句の組合せで選ぶ問題です。
この問題のポイント
登場するのは三つの装置だけで、どれを使うかではなくどの順に並べるかが問われます。並び順を決めているのは、それぞれの装置が働くために必要な温度と、排ガスが乾いているか湿っているかという条件です。分かれ目は、湿式で行う工程を最後に置かなければならない理由を押さえているかどうかにあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
空欄に入る正しい語句
| 空欄 | 語句 | 読み解き |
|---|---|---|
| ア | 脱硝 | 触媒がよく働く高い温度を確保できるのは、ボイラーを出てすぐの位置です。ここでアンモニアを吹き込み、窒素酸化物を窒素へ還元します。 |
| イ | 集じん | 空気予熱器で熱を回収して温度を下げたあと、乾いた状態のままばいじんを捕らえます。 |
| ウ | 脱硫 | 排ガスを液と接触させる湿式で行うため、温度が下がって湿ります。この後ろに高温を要する装置は置けないので煙突の直前です。 |
ここが分かれ目
脱硝の位置がすべての起点です。アンモニアと触媒で窒素酸化物を還元する方式は、触媒が活性を示す温度域でしか働きません。その温度が得られるのはボイラーを出た直後で、下流へ行くほど熱は回収されて温度は下がる一方です。脱硝を後ろに回した並びは、触媒が反応しない温度で運転することになり成立しません。
逆側の端を押さえているのが脱硫です。石炭火力で広く使われている方式は、排ガスを吸収液と接触させる湿式で、通過した排ガスは温度が下がり水分を含みます。脱硫を先に置いてしまうと、その後ろに来る装置は温度も足りず湿った排ガスを相手にすることになり、脱硝の触媒も集じん装置も本来の性能を出せません。だから脱硫は煙突の手前に固定されます。
残った集じんは自動的に中間です。この位置には積極的な意味もあり、湿式の吸収装置へ入る前にばいじんを落としておくことで、吸収液の汚れや装置内の摩耗を抑えられます。三つの装置を温度の高い順に並べれば、そのまま正しい構成になります。
覚え方
- 排煙処理の並びは脱硝→集じん→脱硫。温度が下がる順。
- 触媒による脱硝は温度が命。ボイラー直後の高温を使う。
- 湿式脱硫は最後。温度が下がり湿るので、後段に高温装置を置いてはならない。
- 集じんは乾いた状態で。湿式装置へのダスト持ち込みを防ぐ意味もある。
理解度チェック
脱硝装置をボイラーの直後に置くのはなぜですか。
アンモニアと触媒による還元反応は高い温度でなければ進まないからです。下流へ行くほど熱回収で温度が下がるため、最も高温の位置に置きます。
湿式の脱硫装置を最後に置くのはなぜですか。
排ガスが吸収液と接して温度が下がり水分を含むためです。その後ろに高温や乾いた条件を必要とする装置を置くと働かなくなるので、煙突の直前に据えます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月