平成29年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問5を解説|平均化時間は目的に合わせて選ぶ
平成29年度 大規模大気特論 問5は、濃度や拡散幅を扱うときの平均化時間についての正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
煙の広がりは、どれだけの長さの時間でならして測るかによって値が変わります。長い時間で平均するほど風向の振れが積み重なって、横方向の広がりは大きく見積もられます。だから拡散計算では、何を評価したいのかに合わせて平均化時間を選ぶことになります。引っかけの核心は、実務で使われている平均化時間の桁を一つ飛ばして示している点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 長い時間ならすほど風向の振れが広がりに積み上がるため、横方向の拡散幅は大きくなります。 |
| (2) | ○(正しい) | この線図はもともと短めの平均化時間に対応してつくられているので、1時間ならしたときの値より小さく出ます。 |
| (3) | ○(正しい) | 短い時間の変動がならされて消えるため、平均をとる時間が長いほど計算値と実測値はそろいやすくなります。 |
| (4) | ○(正しい) | 爆発や急性の影響は瞬間的な高い濃度で決まるので、ごく短い時間でとらえる必要があります。 |
| (5) | ×(誤り) | 硫黄酸化物や窒素酸化物の環境濃度は1時間値を基礎に評価されるため、拡散計算でも1時間程度の平均に対応する広がりを使います。1日ならしでは長すぎます。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
硫黄酸化物や窒素酸化物について定められている環境上の目標値は、1時間ごとに測った値とその1日平均を土台に組み立てられています。工場の立地や設備の変更で周辺濃度がどうなるかを見積もるときも、この評価のものさしに合わせるのが筋なので、拡散計算では1時間程度の平均化時間に対応する拡散幅を用います。
ここで1日相当の拡散幅を使うと、風向が一日かけて振れた分まで広がりに繰り込んでしまいます。煙は実際より横に広く薄く延ばされ、その日のうちに現れる濃度の山を見落とすことになります。安全側に立って評価すべき場面で、逆に甘い答えを出す危険があるわけです。
裏返せば、危険物の漏えいのように瞬間の濃度が生死を分ける場面では、平均化時間をさらに短くとらなければなりません。平均化時間は精度の話ではなく、何を守りたいかで決まるという点を押さえておくと、この節の記述はすべて筋が通って読めます。
覚え方
- 拡散幅は平均化時間とセット。長時間ならすほど水平拡散幅は大きい。
- 風向の振れが効くのは横方向。鉛直の拡散幅は平均化時間の影響を受けにくい。
- 環境濃度の予測は1時間、危険物の漏えいは数秒から数分。目的で選ぶ。
- パスキルの線図の値は短めの平均化時間に対応。長時間平均に使うなら補正が要る。
理解度チェック
平均をとる時間が長いほど、なぜ水平方向の拡散幅が大きくなるのですか。
風向は絶えず左右に振れているためです。長い時間でならすと、その振れの分だけ煙が横に振り回された跡まで広がりとして数えられます。
平均をとる時間が長いほど計算値は実測に近づくのに、あえて短い時間を使うことがあるのはなぜですか。
爆発性のガスの漏えいのように、瞬間的な高濃度そのものが評価対象になる場面があるからです。ならしてしまうと守りたい危険が式から消えてしまいます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月