平成29年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問4を解説|正規型プルーム式で煙流中心軸直下の地上濃度を出す
平成29年度 大規模大気特論 問4は、示された正規分布の形をしたプルーム式に数値を入れて、煙の中心軸の真下にあたる地上の濃度を求める計算問題です。値としておよそいくらになるかを選びます。
この問題のポイント
式は問題に示されているので、あとは条件を正しく当てはめるだけです。関門は二つあります。一つは中心軸の真下・地面の高さという位置の条件が、式のどの部分をどう単純にするかという点。もう一つは、体積の比を百万分率へ直すための桁の掛け算を最後まで落とさないという点です。選択肢は正答に対して二倍と桁違いが並んでいるので、途中の係数と桁を取り違えるとそのまま用意された誤答に着地します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
計算の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 手順1 | 位置の条件を式に入れます。横方向のずれがゼロなので横方向の指数関数は1になります。地面の高さもゼロなので、波かっこの中に並ぶ二つの指数関数はまったく同じ値になります。 |
| 手順2 | その指数を計算します。有効煙突高さ100 mと鉛直拡散幅100 mが等しいので、肩の値は100²÷(2×100²)=0.5。したがって指数関数の値は0.61で、二つ分を足して1.22になります。 |
| 手順3 | 前に掛かる分数を計算します。分母は2×π×風速×水平拡散幅×鉛直拡散幅で、2×3.14×2.6×150×100=約24万5千。分子は1なので、およそ4.1×10⁻⁶です。 |
| 手順4 | 掛け合わせて百万倍します。4.1×10⁻⁶×1.22×10⁶=約5となり、選択肢(3)が最も近い値です。 |
ここが分かれ目
最初の関門は波かっこの中です。ここには有効煙突高さから測った距離の二乗が二つ入っていますが、片方は実際の煙の高さから地面までの隔たり、もう片方は地面で跳ね返ったとみなす鏡像までの隔たりを表します。地面の高さで濃度を求めるときは両者がぴったり重なるので、値は片方の二倍です。二倍にし忘れれば答えは半分になり、逆に分母の2を落とせば答えは倍になります。後者はおよそ10という値になり、そのまま用意された誤答に着地します。
二つめの関門は桁です。式の末尾に付いている百万倍は、体積の割合を百万分率の単位に直すためのものです。この掛け算を落とすと答えは百万分の1の値のままになり、逆に桁を余分に見積もると数百という値になります。選択肢に桁だけ違う数が並んでいるときは、単位換算の落とし穴が仕掛けられていると考えて、最後の桁合わせを必ず見直してください。
なお、有効煙突高さと鉛直拡散幅が同じ値に設定されているのは偶然ではありません。この条件では肩の値が必ず0.5に固定され、指数関数の値が問題文で与えられます。設問が定数を親切に与えているところは、計算をそこへ誘導している合図です。
覚え方
- 中心軸の真下・地上では、横方向の指数は1、鉛直の2項は同じ値で2倍。
- 有効煙突高さと鉛直拡散幅が等しいとき、指数の肩は0.5に固定。
- 分母は2π×風速×水平拡散幅×鉛直拡散幅。2を落とすと答えがちょうど倍になる。
- 百万分率へ直す桁の掛け算は最後まで持つ。桁だけ違う選択肢は換算ミスの受け皿。
理解度チェック
波かっこの中に指数関数が二つ並んでいるのは、なぜですか。
地面で煙が跳ね返ることを表現するためです。実際の煙源と、地面をはさんだ鏡像の煙源の二つを足し合わせています。地上で濃度を求めるときは両者が同じ値になるので、片方の二倍になります。
式の末尾に百万倍が付いているのはなぜですか。
濃度を体積の割合ではなく百万分率の単位で表すためです。この掛け算を忘れると答えの桁が大きく外れます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月