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平成29年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問2を解説|晴れた日中に厚く育つのは中立ではない

平成29年度 大規模大気特論 問2は、中立境界層の性質についての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

中立とは、空気のかたまりを上下に動かしても浮力が助けも邪魔もしない状態を指します。この状態が生まれるのは、日射や夜間の冷え込みの効き目が弱まり、風がつくる機械的な乱れが場を支配するときです。引っかけの核心は、境界層がどこまで厚く育つかという話にすり替えて、別の型の境界層の姿を中立のものとして述べている点にあります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(4)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)風が強いほど機械的な乱れが浮力の効き目を上回るため、安定度は中立寄りになります。
(2)○(正しい)厚い雲は昼の日射も夜の放射冷却も遮るので、時間帯を問わず中立に近づきます。
(3)○(正しい)高さによる風速の差が乱れを生み出すのが、この層の乱流の源です。
(4)×(誤り)晴天の日中に地面から1 kmを超える高さまで厚く育つのは、日射で地面が暖められてできる不安定な対流境界層です。中立の場合の姿ではありません。
(5)○(正しい)中立に近いときの風速の高さ方向の変化は、対数分布則、あるいはべき乗則という形で素直に表せます。

選択肢(4)のポイント(ここが誤り)

よく晴れた日の昼間は、地面が日射で暖められ、そこに触れた空気が周りより軽くなって自力で上昇します。浮力が上下の動きを後押しする状態、つまり不安定です。この不安定な状態で上へ上へと混ぜられて育つのが対流境界層で、日中に厚みを増していきます。晴天の日中を中立と言い切っているところが、この記述の誤りです。

中立が現れるのは逆の条件です。厚い雲が日射と放射冷却の両方を遮ったとき、あるいは強い風が吹いて機械的な混ぜ返しが地表の熱の効き目を打ち消したときに、気温の高さ方向の変化が浮力を生まない状態へ落ち着きます。中立境界層はこうした条件のもとでできるため、対流でどんどん厚みを増していくような育ち方はしません

この違いは拡散計算にも直結します。風速の対数分布則が補正なしに使えるのは中立に近いときで、強い不安定や強い安定のもとでは、そのままの形では成り立ちません。中立を「計算の基準になる素直な状態」と位置づけて覚えておくと、他の設問でも迷いません。

覚え方

  • 中立をつくるのは強風と曇天。日射と放射冷却が効かない条件。
  • 晴れた日中は不安定(対流)、晴れた夜は安定(接地逆転)。中立はその中間
  • 中立の乱れの源は風速の高さ方向の差、不安定の乱れの源は浮力
  • 対数分布則・べき乗則を補正なしで使えるのは中立のとき。

理解度チェック

Q.

大気安定度が中立に近づくのは、どのような気象条件のときですか。

風が強いときと、厚い雲に覆われたときです。どちらも地面の加熱・冷却の効き目より風による乱れが勝るため、浮力が上下運動を助けも妨げもしない状態になります。

Q.

対流境界層と中立境界層は何が違うのですか。

対流境界層は日射で地面が暖まってできる不安定な層で、日中に厚く育ちます。中立境界層は浮力が働かない状態の層で、風のせん断がつくる乱れによって混ざります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題」(公式PDF