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平成29年度 公害防止管理者 大規模水質特論 問6を解説|超純水を使う工場ほど水を回収している

平成29年度 大規模水質特論 問6は、工場で一度使った水をもう一度使うための考え方と装置を問う正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

使った水を戻すかどうかは、用途が求める水質まで戻す技術があるか、そして戻すコストが新しく汲む費用より見合うかという二つの物差しで決まります。溶けている成分を取り除きたいなら、吸着させる、イオンごと入れ替える、膜で押し止めるといった手段があり、粒として浮いている成分なら沈める・浮かす・ろ過するで足ります。設問はこの一般論から入り、冷却塔まわりの水の失われ方、塩が濃くなることへの備え、製鉄まわりで直接ふれた冷却水の戻し方と、具体例を並べていきます。引っかけの核心は最後の一点で、汚れているから戻せないと決めつけている肢が一つ混ざっています。汚れの中身が分かっていれば、それに合った処理を選べばよいだけです。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)溶けた成分は沈められないので、吸着・イオン交換・膜という三本柱で除きます。
(2)○(正しい)気体になって出る分のほか、水滴のまま飛ぶ分や機器のすき間から漏れる分もあります。
(3)○(正しい)塩が濃くなるとスケールや腐食が出るため、薬品を入れて析出を抑える運転がとられます。
(4)○(正しい)直接ふれた水は汚れを含むので、先に汚れを落とし、そのうえで冷やしてから戻します。
(5)×(誤り)逆です。大量の超純水を使う工程だからこそ、排水を種類別に分けて回収しています

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

半導体をつくる工程では、ウェハーを洗うために不純物を極限まで取り除いた水を膨大に使います。使う量が多いということは、そのまま捨てれば取水量も排水量も跳ね上がるということです。だから、この業種はむしろ水を回収する動機がいちばん強い部類に入ります。有害な成分を含むことは、再び使えない理由にはなりません。含まれている成分が何かをつかんだうえで、それに合った処理を選べばよいだけです。

回収を成り立たせている鍵は排水を混ぜないことです。洗浄工程で出る排水は、酸を含むもの、アルカリを含むもの、有機溶剤を含むもの、フッ素を含むものなど性質がはっきり分かれています。これらを一本の管に集めてしまうと、薄く広く汚れた大量の水に化けてしまい、処理も回収も難しくなります。逆に発生源で分けて集めれば、フッ素はカルシウムを加えて沈める、有機物は生物処理や活性炭に通す、といった具合に的を絞った処理ができます。処理を終えた水は、逆浸透膜やイオン交換を通して純水をつくる原水として工場へ戻ります。比較的きれいな洗浄排水を、そのまま純水製造ラインの手前へ返す例もあります。

この肢を落とさないためのものの見方は単純です。再利用の可否を決めるのは汚れの「強さ」ではなく、成分が特定できるかどうかと、処理コストが取水コストに見合うかどうかです。成分が分かっていて濃度も安定しているなら、たとえ有害でも回収は成立します。むしろ困るのは、何が入っているか分からない、あるいは日によって中身が変わる排水の方です。特定できるものは戻せる、特定できないものが戻しにくいと覚えておくと、業種を変えて出題されても判断がぶれません。

覚え方

  • 再利用の可否は成分が特定できるかとコストが見合うかで決まる。有害かどうかではない。
  • 回収の前提は発生源で排水を分けて集めること。混ぜたら価値が落ちる。
  • 溶けた成分を除く三本柱は吸着・イオン交換・膜。粒なら沈める・浮かす・ろ過する。
  • 冷却塔から水が失われる経路は、気体になる分・水滴で飛ぶ分・漏れる分。
  • 直接ふれた冷却水は、先に汚れを落としてから冷やして戻す。順序が逆にならない。

理解度チェック

Q.

半導体工場が排水を種類ごとに分けて集めるのはなぜですか。

混ぜてしまうと薄く広く汚れた大量の水になり、処理も回収も難しくなるためです。分けて集めれば、フッ素・酸アルカリ・有機物といった性質ごとに的を絞った処理ができ、純水の原水として戻しやすくなります。

Q.

水に溶けている成分を取り除く代表的な手段を三つ挙げてください。

活性炭などへの吸着イオン交換膜による分離です。溶けている成分は沈降やろ過では取れないため、この三つが基本になります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大規模水質特論 問題・正解」(公式PDF