平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問13を解説|水分測定に使う吸湿剤
平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問13は、排ガスの水分を捕らえて量る管に詰める薬剤の選び方に関する問題です。この用途に使えるものを選びます。
この問題のポイント
ダスト濃度は乾いたガスを基準にして表すため、途中で必ず水分の量を測ります。その方法の一つが、薬剤を詰めた管にガスを通し、薬剤が重くなった分を水の量とみなすやり方です。この考え方が成り立つのは、薬剤が水だけを捕らえているあいだだけです。ところが排ガスには二酸化炭素が入っています。ここを踏まえずに「よく水を吸うもの」という基準だけで選ぶと、身近な乾燥剤の名前に引き寄せられて外します。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 中性の塩で、二酸化炭素と反応しません。増えた質量をそのまま水の量として扱えます。これが正解です。 |
| (2) | ×(誤り) | 塩基性の酸化物で、二酸化炭素と結びついて炭酸塩に変わるため、質量の増加が水だけを表しません。 |
| (3) | ×(誤り) | 同じく塩基性で、二酸化炭素を取り込みます。乾燥剤としては強力でもこの用途には向きません。 |
| (4) | ×(誤り) | 二酸化炭素を取り込んで誤差を生むため、それが共存するガスの水分測定には用いません。 |
| (5) | ×(誤り) | 身近な乾燥剤ですが、二酸化炭素も取り込むため、この測定の吸湿剤としては使えません。 |
ここが分かれ目
この方法は、管の質量をあらかじめ量っておき、ガスを通したあとにもう一度量って、その差を水の量とする、というだけの仕組みです。裏を返せば増えた質量が水以外のものを含んだ瞬間に、測定値は意味を失います。だから薬剤に求められる条件は「よく吸う」ことではなく、水以外を捕らえないことです。ここを取り違えると、乾燥剤として優秀なものほど正解に見えてしまいます。
排ガスには燃焼由来の二酸化炭素がほぼ必ず含まれています。そこで問題になるのが、塩基性の酸化物です。これらは二酸化炭素と結びついて炭酸塩に変わり、その分だけ質量が増えます。管が重くなった原因が水なのか二酸化炭素なのかは、量っただけでは区別できません。結果として水分を実際より多く見積もることになり、乾いたガスの体積を小さく見積もり、そこから換算するダスト濃度まで狂います。物理的に吸着するタイプでも、二酸化炭素を一緒に取り込むものであれば理由はまったく同じです。
これに対して塩化カルシウムは中性の塩で、二酸化炭素と反応しません。水だけをつかまえて離さないため、質量の増加をそのまま水分量として読めます。吸湿剤の選定は、吸湿力の強さ比べではなく、共存ガスと反応しないかどうかで決まる——この一点を押さえておけば、選択肢に並ぶ薬品名を一つずつ覚えていなくても判断できます。
覚え方
- 吸湿管の前提は「増えた質量=水」。水以外を捕らえる薬剤は、その時点で失格。
- 排ガスに二酸化炭素は必ずある。塩基性の酸化物は二酸化炭素と結びついて炭酸塩になる。
- 選ぶのは中性で反応しないもの。強く吸うことより、余計なものを吸わないことが条件。
- 水分を多く見積もると、乾いたガスの量を小さく見積もり、ダスト濃度まで高く出る。
- 身近な乾燥剤の名前が並んでいたら、まず共存ガスとの反応を疑う。日用品の感覚で選ばない。
理解度チェック
二酸化炭素も捕らえてしまう薬剤を使うと、水分量はどうなるか。
実際より多く見積もられます。増えた質量に水以外の分が混ざるためです。乾いたガスの量がずれ、ダスト濃度の換算値まで狂います。
塩基性の酸化物が、この測定の吸湿剤に向かない理由は。
二酸化炭素と結びついて炭酸塩に変わり、その分だけ質量が増えるからです。増えた原因を水と区別できません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題・正解」(公式PDF)
- JIS Z 8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」(水分量測定に用いる吸湿剤)
※ この記事の確認日:2026年7月