1. HOME
  2. 過去問解説
  3. ばいじん・粉じん特論
  4. 平成29年
  5. > 問12 石綿濃度から本数を逆算する

平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問12を解説|石綿濃度から本数を逆算する

平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問12は、測定の条件と得られた濃度から、顕微鏡で数えた繊維の本数を逆にたどって求める計算問題です。

この問題のポイント

いつもは本数から濃度を出す向きで練習しているところを、この問題は向きを反対にしてきます。とはいえ新しい知識は要りません。本数から濃度へ進む式を先に書き、そのうえで掛け算と割り算を入れ替えるだけです。分かれ目は、顕微鏡で実際に見た面積をどう出すかで、視野1つ分の面積のまま扱うと桁がまるごとずれます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(2)(216 本)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×108 本。正解のちょうど半分にあたる値で、面積の扱いをどこかで取り違えると小さい側に着地します。
(2)216 本。見た面積・引き伸ばし・採気量の三段を正しくたどると、この値になります。これが正解です。
(3)×432 本。正解の2倍にあたる値で、引き伸ばしの倍率を誤ると大きい側へ振れます。
(4)×518 本。正解の約2.4倍で、採気量をリットルと立方メートルの間で余計に換算すると、この付近まで離れます。
(5)×1080 本。正解の5倍にあたる値で、濃度をもう一度掛けてしまうとこの値になります。

計算の手順

手順内容
手順1 見た面積視野1つの面積に、数えた視野の数を掛けます。0.001 × 180 = 0.18 cm²
手順2 引き伸ばし倍率有効ろ過面の面積を手順1で割り、実際に見た範囲がろ紙全体の何分の一かを出します。10 ÷ 0.18 = 約55.6倍
手順3 ろ紙全体の本数濃度に採気量を掛け、ろ紙が捕らえた繊維の総数に戻します。5.0 × 2400 = 12000 本
手順4 数えた本数手順3を手順2の倍率で割り、視野の中の本数に縮めます。12000 ÷ 55.6 = 216 本

ここが分かれ目

逆算の問題でつまずくのは、逆算をしようとするからです。まず順方向の式を書いてしまうのが早道で、濃度=数えた本数 ÷ 見た面積 × 有効ろ過面の面積 ÷ 採気量という並びが出れば、あとは左右を入れ替えるだけになります。この形にしておけば、割り算と掛け算のどちらを反転させるかで悩む余地がありません。

最も多い落とし穴は、視野の数を掛けずに、視野1つ分の面積で割ってしまうことです。数えたのは180視野ぶんの合計であって、1視野の中の本数ではありません。ここを間違えると繊維の密度が実際の何百倍にも見積もられ、答えは選択肢のどれからも大きく離れます。もう一つは、逆算のときに採気量を掛けるべきところで割ってしまうことで、順方向の式を書かずに頭の中だけで組むと起こりがちです。

検算も難しくありません。出した216 本を順方向の式に戻し、見た面積で割り、有効ろ過面の面積を掛け、採気量で割って、与えられた濃度に戻るかを見ればよいだけです。逆算問題は検算の材料が問題文の中に最初から与えられているので、時間が許すかぎり必ず往復させておくと取りこぼしません。

覚え方

  • 逆算問題は順方向の式を先に書いてから左右を入れ替える。頭の中で反転させない。
  • 見た面積=視野1つの面積×視野の数。視野の数を掛け忘れるのが最頻の誤り。
  • ろ紙全体の本数=濃度×採気量。単位が本/Lなら、Lを掛ければ本に戻ると考える。
  • 顕微鏡で見えているのはろ紙のごく一部。面積の比で引き伸ばすのが、この計算の骨格。
  • 答えを順方向に戻して元の値に戻るか確かめる。逆算問題の検算はこれで足りる。

理解度チェック

Q.

顕微鏡で実際に見た面積は、どう求めるか。

視野1つの面積に、数えた視野の数を掛けます。視野1つ分の面積のまま計算すると、繊維の密度を何百倍にも見積もることになります。

Q.

数えた本数からろ紙全体の本数へは、どんな倍率で引き伸ばすか。

有効ろ過面の面積 ÷ 見た面積の合計です。この問題の条件では約55.6倍にあたります。

平成29年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題・正解」(公式PDF