平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問11を解説|白石綿の成分(鉄でもカルシウムでもない)
平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問11は、アスベストの定義・数え方・使用実態・規制・鉱物としての中身に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
アスベストは、何を石綿と呼ぶかという定義から、顕微鏡で数える対象の線引き、国内でどれが多く使われたか、いつからどこまで禁止されたかまで、切り口が広い分野です。この問題はその広さを利用して、四つの正しい記述に一つだけ鉱物としての中身を混ぜ、そこを別のグループのものにすり替えています。繊維の形の話と成分の話は別の軸なので、混ぜて覚えていると気づけません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 国際機関の定義では、自然界にある繊維状のけい酸塩鉱物から6つが石綿として扱われます。 |
| (2) | ○(正しい) | 数える対象は、長さの下限・幅の上限・細長さの比という3つの条件で線引きされます。 |
| (3) | ○(正しい) | 国内で産業用に使われた量の大半は白石綿が占めていました。 |
| (4) | ×(誤り) | 白石綿の骨格をつくるのはマグネシウムとけい素で、鉄やカルシウムは主役ではありません。これが正解です。 |
| (5) | ○(正しい) | 平成18年の改正で、重量比0.1%を上回るものまで対象に加え、製造・輸入・使用などが原則として認められなくなりました。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
白石綿(クリソタイル)は蛇紋石族に属する鉱物で、化学的には含水けい酸マグネシウムです。組成式は Mg3Si2O5(OH)4 と表され、骨格をつくっているのはマグネシウムとけい素、それに水酸基と酸素です。鉄やアルミニウムが含まれることはありますが、それは不純物としてであって主成分ではありません。したがって鉄とカルシウムを中心とする説明は、そもそも別の鉱物のものです。
ではその「別の鉱物」は何かというと、石綿の残り5種、すなわち角閃石族の仲間です。茶石綿(アモサイト)や青石綿(クロシドライト)は鉄を多く含むことで知られ、青石綿はさらにナトリウムを含みます。カルシウムを骨格に持つのはトレモライトやアクチノライトです。石綿をひとまとめに覚えると、この成分の違いがまるごと抜け落ちます。選択肢の記述は、白石綿という名札に角閃石族の中身を貼り付けたものだと見抜ければ、迷わず選べます。
整理の軸は単純で、石綿6種は蛇紋石族が1つ、角閃石族が5つに分かれます。蛇紋石族にあたるのが白石綿だけで、これが国内で使われた量の大半を占めた種類でもあります。つまり選択肢(1)(3)と選択肢(4)は、同じ一つの分類表の別の列を見ているだけです。定義・使用実態・成分をばらばらの知識として持たず、族の分類を軸に一枚の表にまとめておくと、どの角度から出題されても対応できます。
覚え方
- 白石綿はマグネシウムとけい素の鉱物。鉄が主役と書かれていたら別の種類の説明。
- 石綿6種は蛇紋石族1つと角閃石族5つ。蛇紋石族にあたるのは白石綿だけ。
- 鉄は茶石綿と青石綿、ナトリウムは青石綿、カルシウムはトレモライトやアクチノライト。
- 国内で使われた量の大半は白石綿。量の話と成分の話は別の列として覚える。
- 数える基準は形の話。長さの下限・幅の上限・細長さの比の3点セットで、成分とは無関係。
理解度チェック
白石綿(クリソタイル)の主成分は何か。
マグネシウムとけい素です。含水けい酸マグネシウムに分類されます。鉄やカルシウムが骨格に入るのは角閃石族の石綿です。
石綿6種は、どのように二つに分けられるか。
蛇紋石族(白石綿の1種)と角閃石族(残りの5種)に分かれます。成分の違いはこの分け方に沿って現れます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題・正解」(公式PDF)
- 環境省「石綿に関する基礎知識」(石綿の定義と種類、蛇紋石族・角閃石族の区分)
※ この記事の確認日:2026年7月