平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問6を解説|ドイッチェの式
平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問6は、電気で粒子を捕らえる装置の成績を見積もる式について、正しい形を選ぶ問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
5つの式はどれも「1から指数関数を引く」という同じ外形をしていて、違いは指数の中身に3つの記号をどう組んだかだけです。したがって覚え方が曖昧でも、指数の中身が満たすべき条件を2つ確かめれば機械的に絞り込めます。ひとつは単位がきれいに消えること、もうひとつは装置を大きくしたときに成績が上がる向きになっていることです。この2条件で5つのうち4つが落ち、残った1つが答えになります。指数の中身が逆数になった式が用意されている点に注意が要ります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 単位は消えますが、正しい形のちょうど逆数です。集じん面積を広げるほど成績が下がることになり、成り立ちません。 |
| (2) | × | 面積と流量が両方とも分母にあり、単位が消えません。指数の中身は無次元でなければなりません。 |
| (3) | ○ | 分離速度と集じん面積の積を、処理ガス流量で割った形。単位が消え、装置を大きくすれば成績が上がります。これが正解です。 |
| (4) | × | 面積と流量の積を速度で割る形で、単位が残ります。流量を増やすほど成績が上がることにもなってしまいます。 |
| (5) | × | 速度と流量が両方とも分母にあり、単位が消えません。分離速度が大きいほど成績が下がる向きにもなっています。 |
ここが分かれ目
最初の関門は単位が消えるかどうかです。指数関数の肩に乗る量は無次元でなければなりません。分離速度は毎秒メートル、集じん面積は平方メートル、処理ガス流量は毎秒立方メートルですから、速度と面積を掛けて流量で割ったとき、ちょうど単位が打ち消し合います。この一手で、3つの式が消えます。
残るのは、指数の中身が互いに逆数になっている2つです。ここを単位だけで決めることはできないので、物理の向きで詰めます。判定は極端な場合を想像するのが速い。ガスを限りなくゆっくり流したとき、粒子は電極に着く時間が十分あるので、成績は限りなく100%に近づくはずです。正しい形では流量が分母にあるので、流量を小さくすると指数の中身が大きくなり、引かれる項がゼロに近づいて成績は100%へ向かいます。逆数の形ではその反対で、ゆっくり流すほど成績が悪くなるという結論になってしまいます。
指数の中身に現れる集じん面積を処理ガス流量で割った量には名前があり、装置の設計ではこの一つの数字が成績のおおよそを決めます。同じ流量を扱うなら電極板を増やして面積を稼ぐ、同じ装置なら流量を絞る。成績を上げる手立ては、この分数を大きくすることに集約されます。式を丸暗記するのではなく、この分数を主役として覚えるほうが応用が効きます。
なお、この式は理想化された条件のもとで導かれたものなので、実機の成績がそのまま一致するわけではありません。捕まえたダストが再び舞い上がったり、ガスの流れが装置内で偏ったりすると、実際の成績は式の値より低くなります。式は上限の見積もりに近い性格を持つと押さえておくと、運転管理の問題にも通じます。
覚え方
- 指数の中身は分離速度×集じん面積÷処理ガス流量。この分数が大きいほど成績が上がる。
- 指数関数の肩は必ず無次元。単位が残る式はその場で消せる。
- 逆数の式との見分けはゆっくり流したら成績はどうなるかで決める。100%へ向かうのが正しい形。
- 成績を上げる手は面積を増やすか流量を絞るかの二択。式はその方針をそのまま表している。
理解度チェック
集じん率の推定式で、指数の中身が無次元でなければならないのはなぜですか。
指数関数の肩に単位のついた量は乗せられないからです。速度×面積÷流量の組合せだけが単位を打ち消すので、この確認だけで多くの誤答が排除できます。
同じ装置で処理ガス流量を半分に絞ると、集じん率はどう動きますか。
上がります。流量は指数の中身の分母にあるため、絞ると中身が大きくなり、引かれる項が小さくなって集じん率が高くなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月