1. HOME
  2. 過去問解説
  3. ばいじん・粉じん特論
  4. 平成29年
  5. > 問5 電気集じん装置の運転条件

平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問5を解説|電気集じん装置の運転条件

平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問5は、電気で粒子を捕らえる装置の運転上の目安と、ダストの電気の通しにくさが引き起こす不具合に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

並んでいる5つの記述は、装置の中を流れるガスの速さ、放電の強さの目安、ダストの電気の通しにくさが高すぎる場合と低すぎる場合の不具合、そして苦手な粒子径という、この装置を語るうえでの定番項目です。抵抗率の話は上限側と下限側が対になっていて、どちらの側にどの不具合が出るかを入れ替える出題が繰り返されてきました。ところが今回の誤りはそこではなく、装置の中をガスがどれくらいの速さで通っているかという、もっと素朴な目安のほうに仕込まれています。抵抗率の対応関係ばかりを警戒していると、先頭の記述を素通りしてしまいます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)示された速さは実機の目安より明らかに速すぎます。この装置は粒子が電極まで泳ぎ着く時間を確保するため、ゆっくり通す設計です。
(2)放電で流れる電流の面積あたりの大きさとして、示された程度が一般的な目安です。
(3)電気を通しやすいダストは電極に着いた瞬間に電荷を失い、電極と同じ極性を帯びて跳ね返されます。低い側の不具合です。
(4)電気を通しにくいダストは層の中に電荷をため込み、そこで絶縁が破れて逆向きの放電が起きます。高い側の不具合です。
(5)示された粒子径の帯は、二つの帯電の仕組みのどちらもが効きにくい谷にあたり、捕集の成績が落ちます。

選択肢(1)のポイント(ここが誤り)

電気で粒子を捕らえる装置は、集じん装置のなかでもガスをとりわけゆっくり通すのが特徴です。乾いた形式で使うときの実機の目安は毎秒0.5~2 m程度で、示された値はこれを大きく上回ります。この速さで通せば、粒子は帯電しても電極にたどり着く前に装置を出てしまいます

なぜ遅くなければならないのかは、集じん率の推定式から読めます。式のなかで効くのは集じん面積を処理ガス流量で割った量であって、流量が増えればこの値は小さくなり、集じん率は落ちます。流速を上げるということは、同じ装置で流量を増やすということですから、成績は素直に悪化します。もうひとつ、いったん電極に捕まったダストを吹き飛ばさないという要請もあります。速い流れは、つち打ちで落とす前のダスト層を剥がして再び流れに戻してしまいます。

ここで混ざりやすいのがほかの装置の速度の感覚です。旋回流で分ける装置は入口で勢いよくガスを入れますし、ダクトの中の流れも速い。それらの数字を引きずったまま電気式の装置に当てはめると、示されたような値でも違和感がなくなってしまいます。装置ごとに速度の桁が違うことを、装置名とセットで覚え直すのが対策です

ついでに、正しい記述の側にある抵抗率の上下の対応も固めておきます。電気を通しやすすぎるダストは電極上で電荷を手放し、電極と同じ極性になって反発され、再び舞い上がります。逆に通しにくすぎるダストは層の中に電荷が滞り、限界を超えたところで層の内側から放電が起きて、荷電の働きを打ち消します。低い側は跳ね返り、高い側は逆向きの放電という並びで覚えると入れ替え問題に強くなります。

覚え方

  • 電気で捕らえる装置は集じん装置のなかで最も低速。毎秒数mは速すぎる、と反射で判定する。
  • 集じん率を決めるのは集じん面積÷処理ガス流量。流速を上げれば成績は落ちる。
  • 抵抗率が低すぎる=跳ね返り、高すぎる=逆向きの放電。低い側と高い側で不具合が違う。
  • サブミクロンの帯は二つの帯電の仕組みの谷間で成績が落ちる。細かいほど取れるとは限らない。

理解度チェック

Q.

電気で粒子を捕らえる装置の中のガス流速を上げると、集じん率はどうなりますか。

下がります。集じん率は集じん面積を処理ガス流量で割った量で決まるため、流量が増えれば成績は落ちます。加えて、捕まえたダストが再び舞い上がりやすくもなります。

Q.

ダストの電気の通しにくさが大きすぎるとき、どんな不具合が起きますか。

電極上のダスト層に電荷がたまり、層の内側で絶縁が破れて逆向きの放電が起きます。生じたイオンが粒子の帯電を打ち消すため、集じん率が大きく落ちます。

平成29年度 公害防止管理者 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題」(公式PDF