平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問4を解説|帯電粒子の移動速度の式
平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問4は、電気の力とガスの抵抗が釣り合ったときに帯電した粒子が示す速度について、式の形を選ぶ問題です。正しいものを選びます。
この問題のポイント
電気で粒子を捕らえる装置の中では、帯電した粒子を電極へ引き寄せる力と、まわりのガスが粒子の動きを妨げる力が働きます。この二つがつり合ったところで粒子の速度が一定になり、その速度が捕集の成績を決めます。5つの式は同じ記号でできているのに、分子と分母がひっくり返っていたり、粒子径の指数が違っていたりするだけの違いです。丸暗記に頼ると取り違えますが、それぞれの量が速度を上げる向きに働くのか下げる向きに働くのかを1つずつ確かめれば、記憶がなくても正解にたどり着けます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 静電気の力が分母に来ており、力を強くするほど遅くなるという逆向きの式です。粒子径も2乗になっています。 |
| (2) | × | 静電気の力が分母、粘度と粒子径が分子と、正しい形とは上下が入れ替わっています。粘度が高いほど速く動くことになり成り立ちません。 |
| (3) | × | 粘度が分母、静電気の力も分母という形で、抵抗と駆動力の役割が入り混じっています。 |
| (4) | × | 上下の並びは正しい形と同じですが、粒子径が2乗になっています。低速域の抵抗は径の1乗に比例します。 |
| (5) | ○ | 静電気の力と補正係数が分子、粘度と粒子径の1乗が分母。すべての量が働く向きと矛盾しません。これが正解です。 |
ここが分かれ目
式を選ぶ問題は、記憶ではなく符号と向きの検算で決めるのが確実です。確かめる項目は3つあります。
ひとつ目は駆動力の位置です。粒子の帯電量が多いほど、また電界が強いほど、粒子は速く電極へ向かうはずです。したがってこの二つの積は分子になければなりません。これが分母にある式は、この時点で全部落ちます。5つのうち3つがこの一手で消えます。
ふたつ目は粘度の位置です。ガスが粘るほど粒子は動きにくくなるので、粘度は分母です。残った2つはどちらもこの条件を満たしているため、勝負は次の項目に持ち越されます。
三つ目が粒子径の指数で、ここが最後の関門です。ゆっくり動く小さな球が受ける流体の抵抗は、直径の2乗ではなく1乗に比例します。落下や沈降の話で出てくる「径の2乗」の感覚を持ち込むと、ここで足をすくわれます。径の2乗が出てくるのは、抵抗と重力を釣り合わせて沈降速度を求めたとき、質量の側から径の3乗が入ってくるからです。今回は重力ではなく電気の力とのつり合いであり、帯電量は式の中に別の記号として残っています。つり合わせる相手が違えば、径の指数も変わると整理しておくと混同しません。
最後に補正係数の扱いです。粒子がガス分子の隙間をすり抜けられるほど小さくなると、抵抗は計算より小さくなります。つまり補正は速度を上げる向きに効くので、分子に置かれます。
覚え方
- 式は駆動力は分子、抵抗は分母。帯電量と電界は上、粘度と粒子径は下。
- ゆっくり動く粒子の抵抗は径の1乗に比例。沈降速度の「径の2乗」を持ち込まない。
- すべりの補正は抵抗を減らす=速度を上げる向き。だから分子に置く。
- 式の選択問題は各記号を増やしたとき速度がどちらへ動くかを1つずつ確かめる。暗記より速くて確実。
理解度チェック
電気で粒子を捕らえる装置の中で、粒子の帯電量が2倍になると移動速度はどうなりますか。
2倍になります。帯電量は分子にあり、電界との積が粒子を動かす力そのものだからです。この向きを確かめるだけで、逆数の形をした式はすべて排除できます。
ゆっくり動く球状粒子が受けるガスの抵抗は、粒子径の何乗に比例しますか。
1乗です。重力による沈降速度の式で径の2乗が出てくるのは、粒子の質量から径の3乗が入ってくるためで、抵抗そのものは1乗です。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月