平成29年度 公害防止管理者 ばいじん・粉じん特論 問3を解説|遠心効果の計算
平成29年度 ばいじん・粉じん特論 問3は、旋回流で粒子を分ける装置について、遠心効果の値を求める計算問題です。数値をひとつ選びます。
この問題のポイント
遠心効果とは、旋回している粒子にかかる遠心方向の加速度が重力加速度の何倍かを表す無次元の数です。定義さえ思い出せば、あとは与えられた速度と半径を当てはめるだけの一行計算になります。分かれ目は二つで、ひとつは半径がセンチメートルで与えられていること、もうひとつは速度が2乗で効くことです。特に2乗を落とすと、用意された誤答のひとつに正確に着地します。単位をそろえてから式に入れる、という順序を崩さないことが安全です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(約272)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | × | 16.5。速度を2乗せずに、半径と重力加速度の積の平方根で割ると出る値です。正解のちょうど平方根にもなっています。 |
| (2) | × | 24.2。正解より1桁小さく、単位の換算か割る相手を取り違えた側に置かれた数字です。 |
| (3) | × | 36.1。これも桁が1つ足りません。分母に余分な量を掛けてしまった場合の受け皿です。 |
| (4) | × | 162。桁は合っていますが、分母の作り方が正しい形と違います。 |
| (5) | ○ | 約272。速度の2乗を、半径と重力加速度の積で割った値と一致します。これが正解です。 |
計算の手順
| 手順 | 内容 | 値 |
|---|---|---|
| 手順1 定義を思い出す | 遠心効果は、旋回による加速度を重力加速度で割った無次元数。式は速度の2乗を、半径と重力加速度の積で割る形です。 | 無次元 |
| 手順2 単位をそろえる | 半径がセンチメートルで与えられているので、まずメートルに直します。速度は毎秒メートルなので、そのまま使えます。 | 0.15 m |
| 手順3 分子を作る | 速度を2乗します。ここを1乗のまま進めると誤答に着地します。 | 400 |
| 手順4 分母を作る | 手順2の半径に重力加速度9.8 m/s2を掛けます。 | 1.47 |
| 手順5 割る | 手順3を手順4で割ります。単位はすべて打ち消し合い、無次元の数が残ります。 | 約272 |
ここが分かれ目
最大の落とし穴は速度の2乗です。旋回による加速度は速度の2乗を半径で割った量なので、速度が2倍になれば加速度は4倍になります。ここを1乗のまま扱うと約16.5という値になり、選択肢(1)にそのまま吸い込まれます。しかもこの16.5は正解の平方根でもあるので、「なんとなく小さいが式は立てた」という状態の受験者ほど選んでしまいます。
次が単位です。半径だけがセンチメートルで与えられており、速度は毎秒メートルです。この不一致を放置すると答えは100分の1になり、選択肢のどれにも当たりません。どれにも当たらないという事態は、実は救いでもあります。答えが選択肢に無いときは計算違いではなく単位換算漏れを最初に疑う、という手順を身につけておくと立て直しが速くなります。
もうひとつ、意味の面での確認を添えておきます。遠心効果が大きいということは、重力沈降では到底落ちない細かい粒子まで壁に押し付けられるということです。式を見れば、この値を上げるには速度を上げるか半径を小さくするかしかありません。実機で小口径のものを何本も並べる作り方が採られるのは、半径を小さくして分離の力を稼ぐためです。ただし速度を上げれば圧力損失は増えるので、いくらでも上げられるわけではありません。
覚え方
- 遠心効果=旋回の加速度は重力加速度の何倍か。無次元なので単位が残ったら間違い。
- 式は速度の2乗÷(半径×重力加速度)。速度は2乗、半径は1乗で分母。
- センチメートルで与えられた半径は式に入れる前にメートルへ。換算は代入より先。
- 値を上げるには速度を上げるか半径を小さくするか。細い筒を並べる作りはこの理屈。
理解度チェック
遠心効果の式で、円周方向の速度と回転半径はそれぞれ何乗で効きますか。
速度は2乗で分子、半径は1乗で分母です。さらに分母には重力加速度が掛かり、全体として無次元の数になります。
同じ流速のまま遠心効果を大きくしたいとき、装置の作りをどう変えますか。
回転半径を小さくします。半径は分母にあるので、細い筒にするほど分離の力が増えます。実機で小径のものを並列に並べるのはこのためです。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論 問題」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月