令和5年度(後期)2級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.10は、配電系統に生じる電力損失の軽減対策として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、その部材が何を守るためのものかを切り分けられるかを問うものです。引っかけの核心は、雷害対策の部材を損失対策に混ぜている点にあります。
損失は電流と抵抗で決まります。
正解:選択肢1(放電クランプ)
| 選択肢 | 対策 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 放電クランプを設置 | 雷害対策の部材。損失とは関係がない |
| 2 | 太い電線に張り換える | 抵抗が下がるので損失が減る |
| 3 | 負荷の不平衡を是正 | 偏った相の電流が減るので損失が減る |
| 4 | 負荷の力率を改善 | 流れる電流が減るので損失が減る |
最も不適当なのは選択肢1です。
配電線の電力損失は、電線の抵抗による発熱です。
電力損失 = I² × R
I:流れる電流 R:電線の抵抗
↓
減らす方法は電流を減らすか抵抗を下げるかの2つだけ
選択肢2・3・4は、すべてこのどちらかに当てはまります。
| 対策 | 効くところ | しくみ |
|---|---|---|
| 太い電線に張り換える | 抵抗 R | 断面積が増えて抵抗が下がる |
| 力率を改善する | 電流 I | 同じ電力でも無効分が減って電流が小さくなる |
| 不平衡を是正する | 電流 I | 偏っていた相の大きい電流がならされる |
放電クランプは、この式のどちらにも関わりません。雷が落ちたときにがいしを守る部材です。
放電クランプのはたらき
雷でがいしに高い電圧がかかる
↓
クランプの間で先に放電させる
↓
がいしの表面で放電するのを防ぎ、がいしの破損を避ける
ふだんは何も起きません。雷のときだけ働く部材なので、日常の損失には影響しません。
不平衡が損失を増やす理由も見ておきます。
不平衡が損失を増やす
損失は電流の2乗に比例する
↓
同じ合計でも、偏っているほうが2乗の合計は大きい
例:10+10+10 → 300 / 20+5+5 → 450
↓
ならすと損失が減る
力率改善は、電力用コンデンサを入れるのが代表的です。無効電力を打ち消して電流を減らします。
配電系統の損失を減らすには、配電電圧を高くするという方法もあります。同じ電力なら電圧が高いほど電流が小さくなります。
放電クランプは何のための部材か。
雷害対策です。雷でがいしに高い電圧がかかったとき、クランプの間で先に放電させてがいしの破損を防ぎます。
負荷の不平衡を是正すると損失が減るのはなぜか。
損失が電流の2乗に比例するからです。合計が同じでも偏っているほうが2乗の合計は大きくなるので、ならすと損失が減ります。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月