ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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地すべり防止工とは?水を抜くのは全部抑制工、排土は頭部だけ

けんせつる

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集水井工って、井戸だから抑止工?

排土工は斜面全体を削るんじゃないの?

この記事の要点

地すべり防止工は抑制工抑止工に大別されます。この分類が毎年問われます。

  • 水を抜く工法はすべて抑制工。横ボーリング工・集水井工・排水トンネル工。
  • 抑止工杭工・シャフト工・アンカー工。構造物の抵抗力で直接止める。
  • 排土工は頭部に限って行う。斜面全域を切土するのではありません。
  • 杭工はすべり面の勾配が緩やかな場所に建て込む。急な場所ではありません。

定番の誤りは「集水井工は抑止工」「排水トンネル工は抑止工」。井戸やトンネルという言葉に引っぱられます。

まず、2つの分類から押さえます。

抑制工と抑止工

区分 考え方 工法
抑制工 自然条件を変化させ、地すべり運動を停止又は緩和する。地形や地下水の状態を変え、滑動力と抵抗力のバランスを変える 水路工・排土工・押え盛土工
横ボーリング工・集水井工・排水トンネル工
抑止工 杭等の構造物によって、地すべり運動の一部又は全部を停止させる。構造物の抵抗力で止める 杭工・シャフト工・アンカー工
地すべり防止工の位置(模式図) すべり面 ★排土工 頭部だけ(抑制工) 押え盛土工(抑制工) 杭工(抑止工) 横ボーリング工 集水井工 ★水を抜く=すべて抑制工
地すべり防止工の位置(模式図)。

見分け方は「水を抜くか、構造物で止めるか」

分類で迷うのは、たいてい水を抜く工法です。名前に井戸やトンネルが入るため、構造物のように見えます。

  • 横ボーリング工……帯水層に向けてボーリングし、地下水を排除する。
  • 集水井工……井筒(ケーソン)で井戸を造り、集めた地下水を排除する。
  • 排水トンネル工……トンネルから深い地下水を排除する。地すべり規模が大きい場合等に用いる。

3つとも抑制工です。「集水井工は抑止工に区分される」「排水トンネル工は抑止工に分類される」はどちらも誤りです。

判断の軸は単純で、水を抜いているか、構造物で受け止めているかです。井戸もトンネルも、目的は水を抜くことなので抑制工になります。

順序は抑制工が先

施工は抑制工 → 抑止工の順が一般的です。抑制工で滑動を緩めてから抑止工を施工します。

動いている地すべりにいきなり杭を入れても、杭に無理がかかります。まず水を抜き、頭部の土を減らして動きを鈍らせてから、構造物で止めにいきます。

排土工は頭部だけ

排土工は、地すべりを動かそうとする滑動力が最も大きく働く頭部の土塊を取り除き、斜面を動かす力そのものを減らす抑制工です。

頭部に限って排土するのが原則です。「原則として地すべり全域にわたって、斜面に平行に切土を行う」は誤りです。

理由は末端部にあります。末端部は、地すべりが滑り出すのを押さえている部分です。ここを削ると滑りに抵抗する押さえまで失われて危険になります。だから切土する場所は効果のある範囲に絞ります

逆に、末端側は押え盛土工で重さを足して抵抗を増やします。頭部は減らし、末端は足すという向きです。

ただし押え盛土工には注意点があります。盛土部の下方斜面に潜在性の地すべりがある場合下方斜面の地すべりを誘発する可能性があるため、盛土部基盤の安定性を十分に検討します。

杭工とシャフト工

杭工は、鋼管などの杭をすべり面より下の動かない地盤まで挿入し、杭のせん断・曲げの抵抗で地すべりを直接止める抑止工です。

★建て込む位置は、すべり面の勾配が緩やかな場所とします。「勾配が急な場所」は誤りです。急な場所は動きが大きく杭に無理がかかります。勾配が緩やかで、土のかたまりが比較的締まって安定した場所を選びます。

シャフト工は、大口径の井筒を山留めとして掘り下げ、そこに鉄筋コンクリートを充填して杭とする工法です。「無筋コンクリート」は誤りです。地すべりの動きを受け止める杭なので、引張りに耐える鉄筋が入ります。

1級では次の2点も出ます。

  • 地表水排除工……ある程度の変状に応じて機能を保てる柔軟な構造とし、修理の容易なものとする。
  • 集水ボーリング……集水井に設けるものは、滞水層ごとに一ないし数段、放射状に配置し、浅層地下水の排除も同時に行う。

混同しやすい用語

集水井工・排水トンネル工(抑制工) と 杭工・シャフト工(抑止工)

水を抜く工法はすべて抑制工です。集水井工は井筒(ケーソン)で井戸を造って地下水を排除するもの、排水トンネル工はトンネルから深い地下水を排除するもので、井戸やトンネルという構造物を造っていても目的は排水なので抑制工です。抑止工は杭工・シャフト工・アンカー工で、構造物の抵抗力そのもので地すべりを止めます。

排土工(頭部) と 押え盛土工(末端)

場所と向きが逆です。排土工は滑動力が最も大きく働く頭部の土を取り除いて滑動力を減らします。押え盛土工末端に土を足して抵抗を増やします。末端部を削ると滑りに抵抗する押さえまで失われて危険になるため、排土工は頭部に限って行い、斜面全域の平行切土はしません。

過去問でどう問われたか

地すべり防止工は2級で7年連続、1級でも続けて出ています。引っかけは3型です。

  • 抑制工を抑止工に入れる……集水井工、排水トンネル工。
  • 場所・向きをずらす……杭工を「勾配が急な場所」、排土工を「全域に平行切土」。
  • 材料を変える……シャフト工を「無筋コンクリート」。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和8年度 2級(No.23)杭工を「すべり面の勾配が急な場所」→ 誤り。緩やかな場所 ←②(正答3)
令和7年度 2級(No.23)排水トンネル工を「抑止工に分類」→ 誤り。抑制工 ←①(正答3)
令和7年度 2級後期(No.23)シャフト工に「無筋コンクリート」→ 誤り。鉄筋コンクリート ←③(正答3)
令和6年度 2級後期(No.23)集水井工を「抑止工に区分」→ 誤り。抑制工。順序は抑制工→抑止工 ←①(正答4)
令和7年度 1級(No.30)排土工を「地すべり全域にわたって斜面に平行に切土」→ 誤り。頭部に限る ←②(正答3)

管理人からのコメント

この単元は2級で7年連続出ています。しかも聞かれるのはほぼ分類だけ。水を抜いていたら抑制工、これ一つで大半が片づきます。集水「井」工、排水「トンネル」工と、構造物っぽい名前がついているのがわざとらしいくらいです。

排土工の頭部は、理屈で覚えてください。斜面を動かしているのは頭の重みで、止めているのは足元の押さえ。だから頭は削り、足元は盛る。全域を削れば足元の押さえまで失うので、かえって危なくなります。

理解度チェック

問題:集水井工と排水トンネル工は、抑制工と抑止工のどちらか。

どちらも抑制工です。水を抜く工法はすべて抑制工で、横ボーリング工も同じです。井筒(ケーソン)やトンネルという構造物を造っていても、目的は地下水の排除だからです。抑止工は杭工・シャフト工・アンカー工で、構造物の抵抗力で直接止めます。(令和6年度2級後期 No.23、令和7年度2級 No.23)

問題:排土工は、斜面のどこを排土するか。

頭部に限って排土します。滑動力が最も大きく働く場所だからです。「地すべり全域にわたって斜面に平行に切土する」は誤りで、末端部を削ると滑りに抵抗する押さえまで失われて危険になります。末端側は押え盛土工で重さを足して抵抗を増やします。(令和7年度1級 No.30)

問題:杭工の杭を建て込むのは、すべり面の勾配がどういう場所か。

勾配が緩やかな場所です。土のかたまりが比較的締まって安定した場所を選びます。勾配が急な場所は動きが大きく杭に無理がかかります。杭工は、杭をすべり面より下の動かない地盤まで挿入し、せん断・曲げの抵抗で直接止める抑止工です。(令和8年度2級 No.23)

まとめ

  • 抑制工=自然条件を変化させて滑動を止める・緩める。水路工・排土工・押え盛土工・横ボーリング工・集水井工・排水トンネル工
  • 抑止工=構造物の抵抗力で止める。杭工・シャフト工・アンカー工
  • 水を抜く工法はすべて抑制工。集水井工・排水トンネル工を抑止工とするのは誤り。
  • 施工は抑制工 → 抑止工の順が一般的。
  • 排土工は頭部に限る。全域の平行切土は末端の押さえを失い危険。末端は押え盛土工で足す。
  • 杭工はすべり面の勾配が緩やかな場所に建て込む。シャフト工は鉄筋コンクリート(無筋ではない)。
  • 押え盛土工は下方斜面の潜在地すべりを誘発しうるため盛土部基盤の安定性を検討する。集水ボーリングは滞水層ごとに放射状に配置する。

斜面の保護はのり面保護工、砂防の構造物は砂防えん堤で確認できます。

参考資料

  • 国土交通省「地すべり防止技術指針及び同解説」
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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