ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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管理図とは?xとRの役割の違いと、中心線に集まりすぎても異常な理由

けんせつる

けんせつる

限界の中に入っていれば安心、でいいの?

真ん中にきれいに集まってたら、いいことじゃないの?

この記事の要点

管理図とは、工程が安定な状況にあるかどうかを調べ、また工程を安定な状態に保持するために用いる図のことです。

  • x管理図=組(群)ごとの平均値の変動を管理。R管理図=組ごとの範囲(最大値と最小値の差)=ばらつきを管理。
  • 管理限界は標準偏差の3倍。10倍ではない。
  • 点が周期的に上下する、片側に連続する、限界線に接近する……いずれも異常。

中心線の近くに全ての点が集まるのも異常のサインです。「安定しているので改善の必要はない」は誤り。

まず、この図が何を見るものかを押さえます。

管理図とは何か

管理図は、工程が安定な状況にあるかどうかを調べるため、また工程を安定な状態に保持するために用いる図です。横軸に時間(データを採った順)、縦軸に測定値をとり、点を打って線で結びます。

真ん中に中心線(CL)、その上下に上方管理限界(UCL)下方管理限界(LCL)を引きます。この管理限界は標準偏差の3倍で決めます。10倍ではありません。

ヒストグラムが分布の形を見るのに対し、管理図は時間の変化を見ます。応用範囲が広いのも特徴です。

管理図(模式図) 時間(データの順番) UCL CL LCL ○ 限界内でランダム=安定 ★限界内でも片側に連続=異常
管理図(模式図)。点の位置だけでなく並び方も見ます。

x管理図とR管理図の役割

x-R管理図は、2つの管理図を組み合わせて使うものです。役割を入れ替えた肢が最もよく出ます。

管理図 何を管理するか
x管理図 組(群)ごとの平均値の変動
R管理図 組ごとの範囲最大値と最小値の差(ばらつき)

2つを併用した折れ線グラフがx-R管理図で、平均値の変動とばらつきの変化を同時に管理できます。作成手順は次のとおりです。

  1. 各組ごとのデータの平均値xを計算する。
  2. 各組のデータの最大値と最小値の差Rを計算する。★「最大と平均との差」は誤り。
  3. 左端にxとRを縦に目盛り、横に組の番号を目盛る。
  4. 中心線・上方管理限界・下方管理限界を計算する。

Rはばらつきの幅を表す値なので、いちばん大きい値といちばん小さい値の差をとります。平均との差ではばらつきを正しく表せません。

なぜ中心線に集まりすぎると異常なのか

ここが直感に反するところです。「管理限界線内にあり、中心線の近くに全ての点が集まる場合は、品質が安定しているので改善の必要はない」という肢が、誤りとして出題されました。

一見すると理想的な状態に見えます。しかしばらつきがほとんど出ないのは不自然です。実際の工程には必ず多少のばらつきがあります。それが出ないということは、性質の違うデータをまとめて1つの群にしている(層別が足りない)ことが多いのです。

たとえば、条件の違う2つの現場のデータを混ぜて平均すると、互いの動きが打ち消し合って真ん中に寄ります。図の上ではきれいでも、それぞれの工程の状態は見えなくなっています。

管理図は、管理限界線を越えたかどうかだけを見る図ではありません。限界線の内側に収まっていても、点の並び方に癖があれば工程に何か起きていると読みます。

異常と読む点の並び方

並び方 判定
管理限界を外れる 異常
管理限界線に接近してしばしば現れる 異常(限界内でも)
中心線に対して上下どちらか一方の側に並ぶ 異常(限界内でも)
周期的に上下する 異常
中心線の近くに全ての点が集まる ★異常(層別不足の疑い)
限界内で、連続して上昇・下降する傾向がない ○ 安定

計量値と計数値の区別

データの種類で使う管理図が変わります。ここも入れ替えて出題されます。

  • 計量値……長さ・重さ・強度・スランプ等のように連続量として測定されるもの。
  • 計数値……不良品の個数・事故の回数等のように数えられるもの。

コンクリート強度は計量値なので、強度・ばらつき・試験誤差の管理にはx-R管理図等を用います。p管理図は不良率(計数値)を管理する図なので、強度管理には向きません。

施工管理での確認ポイント

  • 点の並びまで見る:限界内でも、片側への連続・周期的な上下・限界線への接近がないか。
  • 集まりすぎを疑う:中心線に張り付いていたら層別ができているか確認する。
  • 群の分け方を確認する:条件の違うデータを混ぜていないか(打設班・時間帯・材料ロット等)。
  • データの種類で図を選ぶ:計量値はx-R管理図、計数値(不良率)はp管理図。

混同しやすい用語

x管理図 と R管理図

役割が入れ替えられます。x管理図は組ごとの平均値の変動を管理します。R管理図は組ごとの範囲(最大値と最小値の差)、つまりばらつきを管理します。「x管理図を分布の幅で管理」「R管理図を平均値で管理」はどちらも逆です。

計量値 と 計数値

長さ・重さ・強度・スランプのように連続量として測定されるのが計量値、不良品の個数・事故の回数のように数えられるのが計数値です。名前と中身が結びつきにくいので入れ替えて出題されます。計量値にはx-R管理図、計数値(不良率)にはp管理図を使います。

過去問でどう問われたか

管理図は1級・2級ともに毎年のように出ます。引っかけは3型です。

  • xとRの役割の入れ替え
  • Rの求め方……「最大と平均との差」。
  • 「限界内なら安定」と読ませる……中心線に集まりすぎる場合も安定と書く。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和7年度 2級(No.65)x管理図を「分布の幅で管理」、R管理図を「平均値で管理」→ どちらも逆 ←①(正答2)
令和7年度 2級後期(No.65)範囲Rを「各組のデータの最大と平均との差」→ 誤り。最大値と最小値の差 ←②(正答3)
令和6年度 1級 問題B(No.32)中心線の近くに全ての点が集まる場合は安定しているので改善の必要はない」→ 誤り。層別不足の疑い ←③(正答1)
令和7年度 1級 問題B(No.32)計量値と計数値を逆に説明。コンクリート強度に「p管理図」→ 誤り(正答2)
令和5年度 2級後期(No.60)穴埋め。応用範囲は広く/管理限界は標準偏差の3倍/個数は計数値周期的に上下すると異常(正答4)

管理人からのコメント

管理図でいちばん面白いのが、中心線に集まりすぎるのも異常という点です。きれいなデータほど疑わしい。ばらつきがまったく出ないのは、現実の工程としては不自然です。層別が足りない――つまり性質の違うものを混ぜて見ている、というサインになります。

試験対策としては、「限界内だから安定」と書いてある肢を疑うのが早道です。限界内でも、片側に並ぶ・限界に近い・周期的・中心に集まりすぎ、はすべて異常です。安定と言い切れるのは「限界内で、上昇下降の傾向がない」場合だけです。

理解度チェック

問題:点が中心線の近くに全て集まっている管理図は、安定していると判断してよいか。

いけません。ばらつきがほとんど出ないのは不自然で、性質の違うデータをまとめて1つの群にしている(層別が足りない)ことが多いためです。一見理想的に見えますが、それぞれの工程の状態が見えなくなっています。「安定しているので改善の必要はない」は誤りです。(令和6年度1級 問題B No.32)

問題:x管理図とR管理図は、それぞれ何を管理するか。Rはどう求めるか。

x管理図は組ごとの平均値の変動、R管理図は組ごとの範囲(ばらつき)を管理します。Rは各組のデータの最大値と最小値の差で求めます。「最大と平均との差」ではばらつきの幅を正しく表せません。(令和7年度2級 No.65、令和7年度2級後期 No.65)

問題:コンクリート強度の品質管理に p管理図を使ってはいけないのはなぜか。

コンクリート強度は計量値(連続量として測定されるもの)だからです。p管理図は不良率(計数値)を管理する図で、数えて得るデータ用です。強度・ばらつき・試験誤差の管理にはx-R管理図等を用います。(令和7年度1級 問題B No.32)

まとめ

  • 管理図は、工程が安定な状況にあるかを調べ、安定な状態に保持するために用いる図。
  • x管理図=組ごとの平均値R管理図=組ごとの範囲(最大値と最小値の差)。併用がx-R管理図
  • 管理限界は標準偏差の3倍。10倍ではない。
  • 異常のサイン=限界を外れる/限界線に接近/片側に連続周期的に上下/★中心線に集まりすぎる(層別不足)。
  • 安定と言えるのは、限界内で連続して上昇・下降する傾向がない場合。
  • 計量値(長さ・重さ・強度・スランプ)→ x-R管理図。計数値(個数・回数)→ p管理図。

分布の形を見る道具は品質管理(ヒストグラム)、締固めの管理は締固めの品質管理で確認できます。

参考資料

  • JIS Z 9020「管理図」
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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