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平成30年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問1を解説|鉛の製錬工程と鉛フューム

平成30年度 大気有害物質特論 問1は、鉛という金属の蒸発しやすさと、鉱石から鉛を取り出すまでの工程を扱った正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

鉛は融点も沸点も比較的高い金属ですが、それでも炉の中では蒸気になって排ガスに乗り、冷えて微粒子(フューム)になります。この「どの工程で、どんな形の鉛が飛ぶのか」を追わせるのがこの問題です。引っかけの核心は飛んでいく鉛の化学形の一点で、揮発とは縁遠い塩の名前を最後の工程に紛れ込ませています。工程ごとに何が加えられ、何が除かれるのかを順に押さえれば見抜けます。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)鉛の沸点はカドミウムより約1000 ℃高いものの、沸点に届く前の400〜500 ℃程度から蒸発が盛んになり、冷えて鉛フュームになります。正しい記述です。
(2)○(正しい)鉛精鉱は硫黄を含む鉱石なので、焼結炉で酸化しながら硫黄を二酸化硫黄として追い出します。正しい記述です。
(3)○(正しい)焼結で塊にした鉛の酸化物を、溶鉱炉でコークスを加えて還元すると粗鉛が得られます。正しい記述です。
(4)○(正しい)焼結炉と溶鉱炉の排ガス中のダストには酸化鉛が60〜70 %含まれ、鉛の回収対象になります。正しい記述です。
(5)×(誤り)粗鉛を精製して金や銀を回収する工程で飛ぶのは金属鉛(鉛フューム)や鉛の酸化物です。硫酸鉛が揮散するとするのは誤りです。

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

鉛の製錬は、硫黄を焼結炉で二酸化硫黄として飛ばし、残った酸化物を溶鉱炉でコークスにより還元して粗鉛にする、という流れで進みます。この粗鉛には金や銀などの有価金属が溶け込んでいるので、次の精製工程でそれらを分けて回収します。ここは高温の溶融した金属を扱う工程であり、飛び出すのは溶けた金属鉛そのものの蒸気と、それが空気中で酸化した鉛の酸化物です。

ところが選択肢は、ここで硫酸鉛が揮散すると述べています。硫酸鉛は硫黄を含む塩で、そもそも工程の前段で硫黄は二酸化硫黄として系外へ除かれています。加えて硫酸鉛のような塩は、蒸気になって飛ぶ性質を持ちません。還元が終わった後の工程に、硫黄を含む塩が主役として登場するという時点で筋が通らない、と気づけるかどうかが分かれ目です。

なお鉛は、沸点まで加熱しなくても400〜500 ℃程度から蒸発が盛んになります。「沸点が高いから飛ばない」という思い込みが通用しない金属で、だからこそ製錬工程の各所で鉛フュームの対策が必要になります。

覚え方

  • 金属が炉から飛ぶかどうかは沸点ではなくその温度でどれだけ蒸気になるかで判断する。
  • 飛ぶのは金属そのものの蒸気か、その酸化物。硫酸塩・炭酸塩など塩の形は揮散側に置かない。
  • 硫化鉱からの製錬は「焼く(硫黄を二酸化硫黄で除く)→還元する(コークス)→精製する」の順。
  • 硫黄を落とした後の工程に硫黄を含む物質が出てきたら、まず誤りを疑う。
  • 鉛が蒸発しはじめる目安は400〜500 ℃程度、製錬排ガスダスト中の酸化鉛は60〜70 %

理解度チェック

Q.

粗鉛を精製して金・銀を回収する工程で揮散するのは、どんな形の鉛か。

金属鉛の蒸気(鉛フューム)と、その酸化物です。硫黄はこれより前の焼結の段階で二酸化硫黄として除かれているため、硫酸鉛が飛ぶのではありません。

Q.

鉛は沸点がかなり高いのに、なぜ製錬工程でフュームが問題になるのか。

沸点に達しなくても400〜500 ℃程度から蒸発が盛んになるためです。炉内で蒸気になった鉛が排ガスとともに運ばれ、冷えて微粒子となってフュームを作ります。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題」(公式PDF