平成30年度 公害防止管理者 大気特論 問12を解説|燃料の発熱量測定(ユンカース式は高発熱量)
平成30年度 大気特論 問12は、JISによる燃料の発熱量測定に関する問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
気体・液体・固体という燃料の状態ごとに、どんな器具でどう測るかが並べられています。試料の扱い方や標定用の物質を問う肢は素直な知識問題ですが、一つだけ性格の違う肢が混じっており、それが測って出てくるのは高発熱量なのか低発熱量なのかという問いです。高低の違いは燃焼で生じた水蒸気の凝縮熱を勘定に入れるかどうかで決まるので、測定器の中で水蒸気がどうなるかを思い浮かべられれば判断できます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 気体燃料は、ユンカース式流水形ガス熱量計で測るか、ガスクロマトグラフで求めた成分組成から計算します。 |
| (2) | ×(誤り) | ユンカース式流水形ガス熱量計で得られるのは高発熱量であり、低発熱量ではありません。これが正解です。 |
| (3) | ○(正しい) | 揮発性の液体燃料は、ポリエチレン製やゼラチン製の袋に秤量して測定します。 |
| (4) | ○(正しい) | 固体燃料は1g程度の試料を用いて発熱量を測定します。 |
| (5) | ○(正しい) | ボンブ熱量計の熱量標定には安息香酸を用います。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
高発熱量と低発熱量の違いは、燃焼でできた水蒸気が持ち去る熱を数えるかどうかにあります。水蒸気が冷やされて水に戻るときに放つ凝縮熱まで含めた値が高発熱量(総発熱量)、それを差し引いて水蒸気のまま出ていくものとした値が低発熱量です。したがって、測定器の中で水蒸気が水に戻るかどうかが、そのまま答えを決めます。
ユンカース式流水形ガス熱量計は、燃やしたガスの熱を流れる水に受け渡し、水の温度上昇と流量から熱量を求める仕組みです。燃焼ガスは水で十分に冷やされるので、燃焼で生じた水蒸気はその過程で凝縮し、凝縮熱も冷却水に渡ります。つまり得られる値には水蒸気の凝縮熱が含まれており、この熱量計で低発熱量が測られるとするのは誤りです。表示されるのは高発熱量のほうです。
覚え違いを防ぐには、「冷却水で受け止める形式の熱量計は水蒸気を凝縮させてしまう=高発熱量が出る」と器具の姿から結びつけるのが確実です。低発熱量は測定値そのものではなく、水分の分を差し引いて導く値だという位置づけを押さえておけば、名前を入れ替えた肢に引っかかりません。なお選択肢(3)の袋を使う扱いは、揮発しやすい液体燃料が測定前に逃げてしまうのを防ぐためのもので、秤量した量を確実に燃やすための工夫です。
覚え方
- 熱量計は水で熱を受ける=水蒸気は凝縮する=出てくるのは高発熱量(総発熱量)。
- 高発熱量-水蒸気の凝縮熱=低発熱量。低発熱量は「引いて出す値」。
- 揮発性の液体は袋に秤量。逃がさず全量燃やすための手当て。
- 固体燃料は1g程度の試料。ボンブ熱量計の標定物質は安息香酸。
理解度チェック
ユンカース式流水形ガス熱量計で得られるのは高発熱量と低発熱量のどちらか。
高発熱量(総発熱量)です。燃焼で生じた水蒸気が冷却水で凝縮し、その凝縮熱まで含めた熱量が測られるためです。
揮発性の液体燃料を袋に入れて秤量するのはなぜか。
そのまま置くと蒸発して量が変わってしまうためです。ポリエチレン製やゼラチン製の袋に入れて秤量し、量を確定させたうえで燃焼させます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月