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平成28年度 公害防止管理者 大気特論 問11を解説|アンモニア接触還元法の触媒(白金系は硫黄に弱い)

平成28年度 大気特論 問11は、アンモニアを還元剤に使う接触式の脱硝で用いる触媒の性質を並べた正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

この触媒が置かれるのは、ボイラーの排ガスがそのまま流れてくる場所です。そこには燃料由来の硫黄の酸化物が必ず混じっています。したがって触媒選びの第一条件は、活性の高さそのものではなく、硫黄の酸化物がある環境で働き続けられるかになります。担体に何を選ぶか、添加成分に何を加えるか、形をどうするかという残りの記述は、すべてこの条件から素直に導けます。仕掛けは、その第一条件を真正面から裏切る一文にあります。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(1)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)貴金属を使った触媒は硫黄の酸化物に弱く、働きを保てないため燃焼排ガスの脱硝には向きません。これが正解です。
(2)○(正しい)硫酸の塩に変わりにくいチタンの酸化物が、下地の役として選ばれています。
(3)○(正しい)ダストで詰まらせず、通す抵抗も抑えるため、まっすぐ通り抜けられる形にします。
(4)○(正しい)タングステンやモリブデンの酸化物を足すと、詰まりのもとになる塩が出にくくなります。
(5)○(正しい)実機での交換の目安は年単位で、数年から10年ほどの範囲に収まります。

選択肢(1)のポイント(ここが誤り)

貴金属は触媒として万能だという先入観が、この肢の効き目のもとになっています。たしかに低い温度から反応を進める力は強いのですが、燃焼排ガスの脱硝という土俵ではそれが弱点に変わります。まず、硫黄の化合物が表面に強く吸い付いて、反応が起きるべき場所をふさいでしまいます。さらに悪いことに、二酸化硫黄を三酸化硫黄へ酸化する働きまで持ってしまうため、下流でアンモニアと結びつくねばつく塩を自分でつくり出すことになります。この塩は空気予熱器などの低温部にへばりつき、詰まりと腐食を招きます。

そのため、硫黄分を含む燃料を焚く設備の脱硝では、チタンの酸化物を下地にしてバナジウムなどを載せた組み合わせが定番になりました。下地に選ばれた理由は明快で、硫黄の酸化物と出会っても硫酸の塩に変わりにくいからです。下地が硫酸の塩へ変わってしまうと、載せた活性成分ごと崩れて寿命が尽きます。貴金属が使われるのは、硫黄分がほとんどない排ガスに限られるという線引きを押さえておけば、この肢は迷わず落とせます。

残る記述も同じ筋で読めます。三酸化硫黄とアンモニアからできる塩の析出を抑える添加成分は、いわば副作用への備えです。形を蜂の巣状や板状にするのは、ダストの多い排ガスをまっすぐ通し、詰まりと抵抗を避けるためです。硫黄への強さ、詰まりへの強さ、通しやすさという三点で触媒の設計を眺めると、選択肢がばらばらの雑学ではなく一つの設計思想の各面だと分かります。

覚え方

  • 脱硝触媒の第一条件は硫黄の酸化物がある場所で生き残ること
  • 「貴金属だから強い」は逆。硫黄には弱いので燃焼排ガスでは使わない。
  • 下地には硫酸の塩に変わりにくい酸化物を選ぶ。
  • 添加成分の役目は、詰まりのもとになる塩の析出を抑えること。
  • 形は蜂の巣状か板状。粒を詰め込む形はダストで詰まる。

理解度チェック

Q.

貴金属を使った触媒が燃焼排ガスの脱硝に向かないのはなぜか。

硫黄の酸化物に弱いためです。硫黄の化合物が表面をふさいで活性を落とすうえ、二酸化硫黄を三酸化硫黄へ酸化して、下流で詰まりのもとになる塩を増やしてしまいます。

Q.

触媒の下地にチタンの酸化物が選ばれる理由は何か。

硫酸の塩に変わりにくいからです。下地が硫酸の塩へ変質すると、載せた活性成分ごと崩れて寿命が尽きてしまいます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題・正解」(公式PDF