平成29年度 公害防止管理者 大気概論 問10を解説|粒子の沈着と処理(肺胞に線毛はない)
平成29年度 大気概論 問10は、吸い込んだ粒子が体内のどこにとどまり、どう処理されるかに関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
この問題は、粒子の大きさや性質によって沈着する場所が変わることと、沈着した場所ごとに排除のしくみが違うことを問う正誤問題です。引っかけの核心は、気道の入口側で働く排出のしくみを、いちばん奥の領域まで拡張して書いている点にあります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | どこまで届くかは粒径が決め、そこで何が起きるかは化学的性質が決めます。濃度と合わせた3要素です。 |
| (2) | ○(正しい) | 微小粒子は二次生成の硫酸塩や硝酸塩、燃焼由来の元素状炭素などで構成されます。 |
| (3) | ○(正しい) | 中間の粒径帯は慣性でもぶつからず拡散でも動きにくいため、途中の気道では沈着しにくくなります。 |
| (4) | ×(誤り) | 肺胞に線毛はありません。沈着した粒子は主にマクロファージが取り込んで処理します。 |
| (5) | ○(正しい) | 呼吸器や循環器に持病のある人では、濃度が上がったときに影響が現れることがあります。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
気道は場所によって粒子の片づけ方が違います。鼻から気管、気管支までは表面が粘液で覆われ、細胞の線毛が波打って粘液ごと粒子をのど側へ送り出します。ベルトコンベアのような働きで、最後はせきやたんとして外へ出るか、飲み込まれます。ところが、いちばん奥にある肺胞はガス交換のために膜が極めて薄く、線毛も粘液の層もありません。
選択肢(4)は、肺胞に線毛運動があるかのように書いている点が誤りです。肺胞に届いた粒子は、免疫を担うマクロファージが取り込んで処理し、一部はリンパへ運ばれます。ただしこの経路は時間がかかり、処理しきれない粒子は長くとどまります。奥まで入り込んだ微小な粒子が問題視されるのは、届く距離が長いからだけでなく、そこに掃き出すしくみがないためでもあります。
沈着する場所が粒径で変わることも押さえておきましょう。大きな粒子は曲がりきれずに気道の壁へぶつかって上気道で捕まり、極めて小さな粒子は拡散が効いて壁に触れやすくなります。その中間の大きさはどちらの効き方も弱く、途中の気道を素通りして奥へ進みやすくなります。
覚え方
- 片づけ方で分ける。気管・気管支は線毛で送り出し、肺胞はマクロファージが食べる。
- 肺胞は薄い膜でガス交換する場所。線毛も粘液もないと構造から理解する。
- 大きい粒子は慣性で上気道、極小の粒子は拡散で沈着。中間の大きさが最も奥へ届く。
- 影響を決めるのは濃度だけでなく粒径と化学的性質。3つセットで考える。
理解度チェック
肺胞領域に沈着した粒子は、主に何によって処理されるか。
マクロファージによる取り込みです。肺胞に線毛はなく、線毛運動では排出されません。
線毛運動による排出が働くのは、気道のどの部分か。
鼻から気管、気管支までの領域です。粘液とともに粒子をのど側へ送り出します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 大気概論 問題」(公式PDF)
- 大気汚染防止の技術と法規(大気概論 粒子状物質の沈着と健康影響)
※ この記事の確認日:2026年7月