平成28年度 公害防止管理者 大気概論 問10を解説|VOC排出施設の区分(全問正解)
平成28年度 大気概論 問10は、揮発性有機化合物(VOC)を出す設備の区分を並べ、そのうち届出の数が多いものを選ばせる形の問題です。塗る・乾かす・洗う・ためる、といった作業ごとの区分名が選択肢に並びます。
この問題のポイント
VOCは、それ自体が直ちに人を害するというより、大気中で日光を受けて反応し、光化学オキシダントや微小粒子状物質のもとになる点が問題になる物質群です。大気汚染防止法は、この物質を出す設備を政令で区分して届出と濃度の規制をかけたうえで、事業者の自主的な削減と組み合わせて全体量を減らす、という進め方をとっています。届出された設備の数は毎年公表されていますが、区分ごとの多い少ないを覚えるより、どんな作業が規制の対象になるのかを押さえるほうが役に立ちます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:全問正解(出題上の不備により、全選択肢が正解とされました)
この問題が全問正解となった扱い
本問は、試験実施後に公表された訂正により、どの選択肢を選んでも正解として扱われました。市販の正解表や解答速報の中には特定の番号を正解として載せているものもありますが、それは訂正前の情報です。
問題用紙を実際に見ると、問いかけの末尾は業種を尋ねる形になっている一方、並んでいる5つはいずれも設備の区分名で、問いが求めるものと選択肢が示すものがそろっていません。ただし、公表された訂正の内容からは、どの点が決め手となって出題として成立しないと判断されたのかまでは読み取れません。ここでは理由を決めつけず、この論点で本来押さえるべきことだけを整理します。
ここが分かれ目
VOC規制で最初に押さえるべきは、対象の線引きが業種ではなく、設備の区分と規模で行われるという点です。政令は、塗装、印刷、接着、化学品の製造、洗浄、貯蔵といった作業の型ごとに設備を並べ、それぞれに一定以上の能力という裾切りを付けています。ですから、同じ工場の中でも規制がかかる設備とかからない設備が混ざりますし、業種の名前で対象かどうかが決まることはありません。
もう一つの勘どころは、同じ工程でも作業が分かれれば区分も分かれることです。塗装なら、塗料を吹き付ける設備と、塗ったものを乾かす設備は別の区分として立てられています。「塗る」と「乾かす」を一つにまとめて覚えていると、区分名を並べた選択肢の意味が読み取れません。洗浄も貯蔵タンクも、それぞれ独立した区分です。
| 押さえる点 | 中身 |
|---|---|
| なぜ減らすか | 大気中で反応して光化学オキシダントと微小粒子状物質のもとになるためです。VOCそのものの毒性を理由にした規制ではありません。 |
| どう減らすか | 法律による濃度の規制と、事業者が自ら進める削減を組み合わせます。この組合せがベストミックスと呼ばれます。 |
| 誰が対象か | 業種ではなく、政令で区分された設備のうち一定の規模以上のものが届出と規制の対象になります。 |
覚え方
- VOC対策は法律の規制と自主的な削減の組合せ。どちらか一方ではない。
- 対象は業種で決まらない。設備の区分+規模の裾切りで線を引く。
- 塗装は「塗る設備」と「乾かす設備」が別区分。洗浄と貯蔵タンクも独立。
- 減らす目的は光化学オキシダントと微小粒子状物質の低減。
理解度チェック
VOCの排出を減らす目的は何か。
大気中で反応して生じる光化学オキシダントと微小粒子状物質を減らすためです。VOC自体の毒性を直接抑えるための規制ではありません。
VOCの規制対象は、業種で決まるのか。
いいえ。政令で区分された設備のうち、一定の規模以上のものが対象です。同じ工場でも対象になる設備とならない設備が混ざります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成28年度 公害防止管理者等国家試験 大気概論 問題・正解及び訂正のお知らせ」(公式PDF)
- 大気汚染防止法(揮発性有機化合物の排出の規制)/環境省「VOC排出抑制制度」
※ この記事の確認日:2026年7月