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平成29年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問6を解説|セレンを共沈で除けるpH域(アルカリ側では落ちる)

平成29年度 水質有害物質特論 問6は、セレンを含む排水の手当てについての正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

セレンは四価と六価で処理の難しさが大きく違います。四価は鉄の水酸化物に取り込まれますが、六価は取り込まれず、いったん還元して形を落としてやらなければ手が出ません。この問題は、その基本の対比を確かめたうえで、吸着や生物処理といった周辺の技術にも触れています。分かれ目は共沈が効く液性の向きです。金属を沈める処理はアルカリ側に振るものだという癖が身についていると、そのまま共沈にも当てはめてしまいます。しかし共沈が働く仕組みは水酸化物法とは別物で、液性の効き方も同じにはなりません。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)活性アルミナは四価のセレンを吸着でき、除去手段として使われます。
(2)○(正しい)四価は水酸化鉄(Ⅲ)のフロックに取り込まれ、共沈で除けます。
(3)×(誤り)アルカリ側では取り込みが急に落ちます。効くのは中性から弱酸性です。
(4)○(正しい)微生物の働きで六価を金属の形まで還元する処理が実用化されています。
(5)○(正しい)金属鉄は六価を還元でき、後段の共沈につなげられます。

選択肢(3)のポイント(ここが誤り)

共沈が成り立つのは、水酸化鉄のフロックの表面が正の電気を帯び、負の電気を帯びたセレンの酸イオンを引き寄せて抱え込むからです。ところが液性を上げていくと、フロック表面の電気は次第に負のほうへ傾きます。同じ符号どうしになれば引き寄せる力は失われ、アルカリ側へ振るほど取り込みは落ちて、やがてほとんど働かなくなります。中性から弱酸性という比較的狭い窓のなかで運転することが、この処理の勘所です。

ここを間違えやすいのは、重金属を沈める処理の多くが「アルカリを入れてpHを上げる」形をしているからです。水酸化物法は、金属イオンと水酸化物イオンが結び付いて溶けにくい塊になる反応ですから、水酸化物イオンが増えるアルカリ側が有利になります。しかし共沈は、生まれたフロックの表面に別の物質が捕まる現象で、決め手になるのは表面の電気とイオンの符号の関係です。仕組みが違えば最適な液性も違う、という切り分けができていないと、この肢を正しいものとして読み流してしまいます。

六価の扱いも押さえておきます。六価のセレン酸イオンは水中で安定していて、鉄のフロックに取り込まれません。そこで、金属鉄や鉄粉によって還元して四価あるいは金属の形に落とす道、微生物の呼吸を利用して金属の形まで還元する道が用意されています。四価は沈められるが六価はまず還元という対比が、セレンの出題の骨格です。吸着による除去でも同じ対比が現れ、活性アルミナが効くのは四価の側になります。

覚え方

  • セレンの共沈は中性から弱酸性。アルカリ側では急に落ちる
  • 共沈はフロック表面の電気で決まる。水酸化物法とは仕組みが別物。
  • 四価は共沈も吸着も効く。六価はどちらも効かない。
  • 六価はまず還元。金属鉄・鉄粉・微生物のいずれか。
  • 活性アルミナが効くのは四価の側。

理解度チェック

Q.

セレン(Ⅳ)の共沈処理で、アルカリ側に振ると除去率が下がるのはなぜか。

水酸化鉄のフロック表面の電気が、pHを上げるにつれて正から負のほうへ傾くためです。負の電気を帯びたセレンの酸イオンと反発するようになり、取り込まれなくなります。効くのは中性から弱酸性の範囲です。

Q.

セレン(Ⅵ)を除去するには、どのような手順を踏むか。

六価のままでは共沈にも吸着にもかからないため、まず還元して四価または金属の形に落とします。金属鉄や鉄粉を用いる方法のほか、微生物の働きで金属セレンまで還元する処理も実用化されています。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF