平成30年度 公害防止管理者 水質概論 問2を解説|損害賠償責任は「人の健康に係る被害」が対象
平成30年度 水質概論 問2は、水質汚濁防止法の目的についての記述中、下線を付した箇所のうち誤っているものを選ぶ問題です。
この問題のポイント
この問題は、水質汚濁防止法の目的規定が汚濁の防止と、被害が出てしまったときの賠償という二階建てになっていることを押さえているかを問うています。引っかけの核心は賠償責任がどこまでの被害に及ぶのかという範囲の広さです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている箇所)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 排出の規制と並んで、生活排水対策の実施の推進が目的に掲げられています。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | この法律でいう汚濁には、水質以外の水の状態が悪化することも含まれます。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 事業者の損害賠償責任が定められているのは、人の健康に係る被害が生じた場合です。「環境の汚染」が生じた場合とするのは範囲を広げすぎで誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | 汚水や廃液に関して事業者の損害賠償の責任について定めています。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 賠償責任を定める趣旨は被害者の保護を図ることにあります。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
水質汚濁防止法の目的規定は、性格の違う2つの柱でできています。前半は排出の規制と生活排水対策によって汚濁を防ぎ、国民の健康を保護し生活環境を保全するという予防の柱。後半はそれでも被害が出てしまったときに、事業者に損害賠償の責任を負わせて被害者を保護するという事後救済の柱です。
問われているのは後半の柱の適用範囲で、条文が対象としているのは人の健康に係る被害が生じた場合です。「環境の汚染が生じた場合」と読み替えると、対象が健康被害よりずっと広くなり、条文が定めている範囲を超えてしまいます。
この賠償責任は、事業者に故意や過失がなくても負わせる仕組みになっています。被害者が事業者の落ち度を証明しなくても救済を受けられるようにするためで、だからこそ適用の範囲は健康被害という重い結果に絞られています。範囲の広さと責任の重さは裏返しの関係だと押さえておくと、「環境の汚染」まで広げる記述に違和感を持てます。
覚え方
- 目的規定は二階建て。予防(規制+生活排水対策)と、事後救済(損害賠償)。
- 賠償責任の対象は人の健康に係る被害。「環境の汚染」まで広げた記述は誤り。
- この責任は故意・過失を問わない。落ち度の証明なしに救済できるぶん、範囲は健康被害に絞られる。
- 汚濁には水質以外の水の状態の悪化も含む。水温や水位なども視野に入る。
理解度チェック
水質汚濁防止法で事業者の損害賠償責任が定められているのは、どのような被害が生じた場合ですか。
人の健康に係る被害が生じた場合です。「環境の汚染が生じた場合」ではありません。事業者の故意や過失を問わずに責任を負わせる仕組みのため、対象は健康被害に絞られています。
水質汚濁防止法にいう「汚濁」には、何が含まれますか。
水質が汚れることに加えて、水質以外の水の状態が悪化することも含まれます。汚れの濃度だけを見る言葉ではありません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成30年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題」(公式PDF)
- 水質汚濁防止法(第1条)
※ この記事の確認日:2026年7月