平成29年度 公害防止管理者 水質概論 問6を解説|有機塩素剤で有害物質なのは1,3-ジクロロプロペン
平成29年度 水質概論 問6は、並べられた五つの有機塩素系薬剤から、水質汚濁防止法施行令が有害物質に指定している一つを選ぶ問題です。
この問題のポイント
この問題は、有害物質のリストに農薬がどれだけ入っているかという細かい記憶を問うています。分かれ目は、公害の歴史でよく名前を聞く有機塩素系殺虫剤ほど、実はこのリストに入っていないという逆転で、知名度で選ぶと外れます。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(有害物質に指定されている物質)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 該当 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(該当しない) | 分解されにくく生物に蓄積する殺虫剤として国際的に規制されていますが、水質汚濁防止法の有害物質には挙げられていません。 |
| (2) | ×(該当しない) | 白あり駆除などに使われた殺虫剤で、日本では早くに使用が止められました。これも有害物質のリストにはありません。 |
| (3) | ×(該当しない) | (1)と同じ系統の殺虫剤で、代謝によって互いに移り変わる関係にあります。やはりリストの外です。 |
| (4) | ×(該当しない) | 水田の除草剤として広く使われ水質汚濁の原因にもなりましたが、有害物質として指定されてはいません。 |
| (5) | ○(該当する) | 土壌をくん蒸するために使われる薬剤で、有害物質として名指しで指定されています。健康にかかわる環境基準の一覧にも同じ名前が並びます。 |
ここが分かれ目
水質汚濁防止法の有害物質は、健康項目の環境基準とほぼ対応する形で並んでいます。重金属やシアン、有機塩素系の溶剤が中心ですが、そこに農薬が四つだけ混じっています。チウラム・シマジン・チオベンカルブ・1,3-ジクロロプロペンの四つで、この顔ぶれを覚えてしまえば、農薬が出てくる出題はほとんど片づきます。
引っかけになるのは、公害の歴史で名前をよく聞く有機塩素系殺虫剤のほうが有害物質だと思い込んでしまう点です。これらは分解されにくく生物に濃縮されるため国際条約で製造・使用が禁じられており、日本でもとうに使われていません。使用そのものが止まっている物質は、工場排水の中身を縛る有害物質のリストに載せる必要がないのです。逆に有害物質に指定されているものは、いまも使われていて排水に混じる可能性があるという裏返しの意味を持ちます。
覚え方
- 有害物質に入る農薬は四つだけ。チウラム・シマジン・チオベンカルブ・1,3-ジクロロプロペン。
- この四つは健康項目の環境基準にも同じ名前で並ぶ。基準の一覧から思い出せる。
- アルドリン・ディルドリン・クロルデン・PCPは有害物質ではない。使用が止まった物質は排水規制の対象にしない。
- 指定の意味は逆から読む。いまも使われ、排水に混じりうるから指定されている。
理解度チェック
水質汚濁防止法の有害物質に指定されている農薬は、どれですか。
チウラム、シマジン、チオベンカルブ、1,3-ジクロロプロペンの四つです。このうち有機塩素剤に当たるのが1,3-ジクロロプロペンです。
よく名前を聞く有機塩素系殺虫剤が有害物質に入っていないのはなぜですか。
分解されにくく生物に蓄積する性質からすでに製造・使用が禁じられているためです。工場排水に混じる余地がない物質は、排水を縛るためのリストに置く必要がありません。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 水質概論 問題」(公式PDF)
- 水質汚濁防止法施行令(第2条)
※ この記事の確認日:2026年7月