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平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問30を解説|水平は鉛直より補正の落ち方が急

平成29年度 騒音・振動特論 問30は、横向きと上下向きそれぞれの帯域別の測定結果から、両方向の値を求めて組合せを選ぶ計算問題です。二つの数値の組を選びます。

この問題のポイント

手順そのものは、重みを掛けてエネルギーで合成するというひと通りだけです。難しいのは、掛ける重みが向きによって違うことに気づけるかどうか。人が最も敏感に感じる帯域は、上下向きでは4〜8ヘルツ付近ですが、横向きではもっと低い1〜2ヘルツ付近にあります。その先はどちらも1オクターブごとに6デシベルずつ削られるので、同じ周波数で比べると横向きのほうが一段深く削られる関係になります。表の生の値が両方向でよく似ていても、答えの二つの数値が大きく離れるのはこのためです。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(3)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)×(誤り)両方向とも計算値より10 dBほど低く、重みを深く見積もりすぎた組合せです。
(2)×(誤り)上下向きは合いますが、横向きが5 dB低すぎます。片方だけ合っている組合せが最も紛れます。
(3)○(正しい)向きごとの重みを掛けて合成すると、横向きが約52 dB、上下向きが約62 dBになります。
(4)×(誤り)両方向とも計算値より高く、削られる量を浅く見積もった場合の値です。
(5)×(誤り)上下向きの値は、重みをまったく掛けずに合成した結果と一致します。補正を飛ばした典型です。

計算の手順

手順内容
手順1向きごとの重みを用意する(JIS C 1510)。上下向き=2 Hz −3、4 Hz 0、8 Hz −1、16 Hz −6、31.5 Hz −12、63 Hz −18 dB。
手順2横向きの重みも並べる。2 Hz +2、4 Hz −3、8 Hz −9、16 Hz −15、31.5 Hz −21、63 Hz −27 dB。
手順3横向きに重みを掛ける。34、34、41、51、37、23 dB。エネルギー合成して約52 dB
手順4上下向きに重みを掛ける。43、47、55、61、48、33 dB。エネルギー合成して約62 dB
手順5二つの数値の組で選択肢を突き合わせる。片方だけ合う組があるので、必ず両方を確かめる。

ここが分かれ目

この問題がよくできているのは、生の値が両方向でほとんど変わらない点です。最も大きい16ヘルツの帯域を見ると、横向きと上下向きの差はごくわずかしかありません。それなのに答えでは10デシベルも開きます。理由は重みの深さで、この帯域で横向きは15デシベル削られるのに対し、上下向きは6デシベルしか削られません。表の数字をにらんでいるだけでは、この差はどこにも見えません。

もう一つの落とし穴が、重みを掛けずに合成してしまうことです。生の値をそのまま合成すると上下向きは約68デシベルになり、選択肢の中にきちんと用意されています。合っている数値が並んでいるので、そこで手が止まってしまいます。ここで求められているのは人の感じ方に合わせた量であって、純粋な物理量ではありません。表の見出しに「振動加速度レベル」とあるのに答えは「振動レベル」だという、量の名前の違いが読み取りの鍵です。

実務では、法に基づく判断に使うのは上下向きの値だけです。横向きの値を規制の判定に持ち込んではいけません。それでも計算方法として横向きを問うのは、向きによって人の感じ方が違うという事実を押さえてほしいからです。低い周波数の揺れは横向きのほうが不快に感じられ、高い周波数では上下向きのほうが強く感じられます。重みの形はその実感を数値にしたものです。

覚え方

  • 敏感な帯域は向きで違う。上下向きは4〜8 Hz、横向きは1〜2 Hz
  • 敏感な帯域より上は、どちらも1オクターブごとに6 dBずつ削られる。
  • 同じ周波数なら横向きのほうが深く削られる。8 Hz以上ではおよそ9 dBの差
  • 生の値が同じでも、向きが違えば求まる値は同じにならない。
  • 問われている量の名前を確かめる。重み付け前か後かで答えが一段変わる。

理解度チェック

Q.

16 Hzの帯域で生の値が同じとき、横向きと上下向きでは重み付け後にどれくらい差がつきますか。

およそ9 dBです。上下向きは約6 dB、横向きは約15 dB削られるためです。31.5 Hzや63 Hzでも差はほぼ同じ9 dBのまま続きます。

Q.

重みを掛けずに合成した値と、掛けてから合成した値の名前はどう違いますか。

前者は振動加速度レベル、後者は振動レベルです。表に載っているのは前者で、問われているのが後者なら必ず重みを掛ける手順が入ります。名前の違いが計算の有無を決めます。

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出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF
  • 日本産業規格 JIS C 1510「振動レベル計」付表(基準レスポンス。鉛直:2 Hz −3.2、4 Hz +0.1、8 Hz −0.9、16 Hz −6.1、31.5 Hz −12.0、63 Hz −18.0 dB/水平:2 Hz +2.1、4 Hz −2.8、8 Hz −8.9、16 Hz −15.0、31.5 Hz −21.0、63 Hz −27.0 dB)