平成29年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問1を解説|防振と制振は役割が違う
平成29年度 騒音・振動特論 問1は、送風機を回したときに出る音の分け方と、それぞれに使う材料に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
送風機の音は、風の通り道の空気を伝わって出口から抜ける系統と、機械の揺れが構造物へ移ってから面が鳴る系統に大きく分かれます。後者はさらに、据付部から床や基礎へ直接移って床面が鳴る系統と、ケーシングやダクトの外殻が内部の音波に押されて鳴る系統に分かれます。引っかけは最後の対策材の名前にあり、揺れの伝わりを断つ材料と板の鳴りを熱に変えて鎮める材料がすり替えられています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 羽根が回ることで内部に生まれた音が、風路の空気の中をそのまま進んで吹出し側から出ていく系統の説明です。 |
| (2) | ○(正しい) | 機械側の揺れが据付部を経て床へ移り、揺れた床面そのものが音を出す系統で、一次固体音の定義に合います。 |
| (3) | ○(正しい) | 起点が内部の音波である点が二次固体音の特徴で、押された外殻が鳴って外へ音を出します。 |
| (4) | ○(正しい) | 風路を進む音は、その通り道の途中に減音の仕掛けを割り込ませるのが定石です。 |
| (5) | ×(誤り) | 揺れの縁を切る役目を負うのは防振ゴムや金属ばねなどの支持材で、板に貼る制振材料は別の役目を担います。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
この肢は、揺れの縁を切る役目と、板の鳴りを鎮める役目とを一つの材料に負わせています。名前が似ているため入れ替えても違和感が出にくく、そこを突かれています。
揺れが基礎や床へ移るのを妨げたいなら、機械と土台の間に柔らかいばねを挟み、揺れの通り道そのものを細くします。防振ゴム、金属ばね、空気ばねがこの役です。ばねが柔らかいほど支持系の固有振動数は下がり、機械の回転数がそれより十分高い領域で伝わりが小さくなります。
いっぽう制振材料は、鉄板やダクトの壁に貼り付けて板の曲げの揺れを熱に変え、板が鳴りにくい状態をつくるものです。効き目が出るのは、薄い板が内部の音波や打撃で振り立てられて音を放つ場面、つまり二次固体音の側です。土台へ伝わる揺れの量そのものは、板に材料を貼っても減りません。この対応関係を取り違えると、対策を打ったのに床の揺れが変わらないという結果になります。
覚え方
- 音の系統は3つ。風路を進む音・土台へ移った揺れが鳴らす音・外殻が押されて鳴る音。
- 縁を切るのが防振、鳴りを鎮めるのが制振。目的語が「伝わり」か「板の揺れ」かで選ぶ。
- 風路の音には消音器。壁を厚くしても風路の中の音は減らない。
- 制振材料の出番は薄板の鳴り。ダクト壁・ケーシング・カバー板に貼る。
- 防振材の効き目は支持系の固有振動数が低いほど大きい。柔らかいばねほど有利。
理解度チェック
床へ伝わる揺れを減らしたいとき、機械と土台の間に入れるのはどんな材料ですか。
防振ゴムや金属ばね、空気ばねといった柔らかい支持材です。支持系の固有振動数を運転の回転数より十分低くすることで、土台側へ移る力が小さくなります。
ダクトの壁に制振材料を貼ると、どの音が減りますか。
内部の音波に押されて壁の板が鳴って出す音、つまり二次固体音です。風路の中を進んで吹出し口から出る音や、土台へ移る揺れは、この材料では減りません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「平成29年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月